息子が悪役令嬢だった件

息子が悪役令嬢？ その２

　
　お母さんと聞いた途端、私は二つの記憶を思い出した。　

　ひとつは、このロリ系な、メイド服を着た可愛い子の記憶。

　この子の名前は、どうやら、ベルというみたい。

　なかなか、かわいい名前だけれど、違和感がある。

　それはおそらく、もう一つの記憶のせいだと思う。

　そう、もうひとつは、息子がいたというお母さんだった記憶。

　私には間違いなく確かに、二人の息子がいたはずだ。
　
　でも、この美少女が息子？？？なんてまさかそんなはずはないんだけど・・・と思いつつ、私は目の前にいる美少女に、おそるおそる、息子の名前を言ってみる。

「もしかして聡さとしだったり(笑)して・・・？」

　冗談ぽく言ったのは、半信半疑だったからだけど。

　上の息子は男にしては華奢で、小さいときから女の子に間違えらるほど、とても可愛い顔をしていたが、目の前にいるのは今まで見たことのないほどのレベルの美少女だ。

　例えるなら、妖精に近い。

　人間、いや、絶対に人類を越えてる。

　美少女すぎてなかなか信じがたいが、なぜか私にはこの目の前の美少女の中に上の息子の姿が見え隠れするようになってしまった。

　「聡にも・・・見える・・わね」

　美少女は、にっこり笑って、

「そうだよ、お母さん、俺だよ、間違いない」

　口調は確かに・・・聡だな。

「お母さん、随分痩せたね、別人のようだって(笑)あっ、別人か」

　と言った。

　人間って、驚くと著しく語彙力が低下するらしい。

　私が次に言えたのは

「マジで・・・」

　の一言だった。