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その39
しおりを挟むベルはレオンの屋敷に行くことにぶつぶつ言ってる。
なぜなら、今は食堂の新メニューの開発を頼まれていて、大忙しだったからだ。
身体が若くなっていたから 仕事も楽しいらしく、本当に生き生きとしていたし、バリバリ働くのも楽しかったのかなと思ったけれど、今回ばかりは背に腹は代えられぬ。
「今度は・・・まあ、幸せになってくれ」
俺は心からこう言った。
記憶がないせいか、何のかんの言ってたけど、親父のことを好きなのは一目瞭然だったしな。
「もう、面倒ならとっとと結婚させちゃえばいいのに・・・」
やみが呟くと、レオンが頷いている。
それにサッと便乗して、レオンはいつの間にかベルのことお義母さんって呼んでやがる。
俺は、念には念をいれて、攻略対象がベルのことを探さないようにするためレオンたちに、ベルを取り巻くすべての人に暫くは、ベルのこと思い出さないような魔法を施してもらった。
記憶の操作ってやつだ。
それでも、厄介なことにヒロインもどきになったベルに、攻略対象の獣人野郎が何をするか、今のところ全くわからないので、とりあえずは獣人野郎を監視しないとなと思ってた。
あまり深読みしたくはなかったのだが、ベルと獣人ってどっかのおとぎ話の展開になりそうで、それがヒロインになった要因になったかもしれないと。
攻略対象の獣人は驚いたことに向こうから堂々と接触してきた。
やっぱり思った通りだな、ベルの情報が無さすぎて、とうとう俺のところにきたか。
さすがに攻略対象には記憶の操作ができなかった。
「記憶ぐらいなら、簡単に痕跡を残さず消せるぞ」
レオンやレオンの侍女は、面倒なことになる前に記憶を消したらいいと言われたから、そのままオランに言ったらすごい勢いで全員お説教された。
「あなたたちは常識がないんですか?あの人はサファイヤ王国の留学生なので下手なことをしたら国際問題になりますよ」
確かに、いくら痕跡を残さないって言われても、国を代表にしてきている生徒は、やばいか。
俺は大いに反省する。
オランは俺達の中だと常識的なので、これから最終的にはオランの指示に従うことにしている。
それにしても、攻略対象、俺のところによくこれたなと感心する。
とはいえ、最終的には俺のところにくることは予想済みだったので、やみとレオンに俺の周りに人との接触を避ける強力な結界を張ってくれるように頼んだ。
すると、しばらくは勘のいい奴か、魔力の高いやつらは、危険を察知して俺に近づけなかったはずなのだが、奴は堂々と来た。
でも、意外に結界が効いていたみたいで、俺に近づけないせいか、かなりの安全距離だった。
そういえば、獣人の恋愛と言えば 番 だよな。
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