俺が悪役令嬢だった件

知花虹花

文字の大きさ
上 下
34 / 85

その34

しおりを挟む
 ただ、思ったより触ってくることに不快感を感じないが、ものすごく困る。

「えっ?えっ?わかっているなら、とりあえず落ち着こうよ!!!」

 自分でもびっくりするぐらい、女の子のちょっと悲鳴に近い声になっちゃったよ。

 すると、ごんって鈍い音がして俺の身体の自由が戻った。

「はい、そこまで」

 いつの間にか、オランとレオンの侍女がレオンを羽交い締めにしてた。

「レオンの場合、隙みないと押さえられないから、だからレオンにちょっと、いや、かなりサービスしちゃったけどな・・・」

 と言って、レオンの侍女は羽交い締めしながら大爆笑している。

 雇用主をそんな扱いして大丈夫なのかな?など、ぼんやり思っているとオランが慌てたように俺をせかす。

「イザベラさん、早く本にキーワードいれてください。あれから侍女さんがトイレから帰ってきたと思ったら、いきなりレオンさんの様子が怪しいから一緒にこいって言われて・・・僕にはいつものレオンさんに見えたけど、さすがに侍女さんですね」

 俺もちょっと変だなとは思ったけど、いつもとほぼ変わらんと思ってた。

「本当に間に合って良かったです。部屋の外からずっと見ていたので、いいタイミングで助けれて良かったです」

 オランが早口で言っているけれど、俺にしてみたら間に合ってないと思うぞ!

「えっ、見てたなら、もう少し早く助けてくれないかな?」

 切実に思う・・・だって特に耳の時とかさ。

「レオンさんの隙がなかなかなくて唯一、抱き締めたときと、耳を噛ったときと、さっきの告白のときだったみたいで」

 レオンの侍女はまだひいひい笑っている、油断してってことだったら、色々と触り出す前に、助けられたはずだろ!

 まあ、それはおいといて、さっさとキーワードをいれていこう。

 一見、暗号のようになっているけど、最終的にはクロスワードのように数字の順番で文章が浮かび上がるみたいだ。

 俺は完成された文章をみて言葉がでなかった。

「あっ、解けましたね、呪いは消えましたよ、本当に良かったですね」

 オランが鑑定で確認してくれた。

 レオンもどうやら、正気に戻ったらしい。

「イザベラさん、大丈夫ですか?」

 オランが心配そうに言う。

 ちょっと体が震える。

 そしてオランに言う。

「この本、俺に向けられた本だった。俺宛のメッセージがキーワードだった」

「えっ?」

 オランもびっくりしている。

 でも、こんなことってあるのか?亮の家庭教師って、一体何者だったんだろう・・・


 イザベラ カナラズ ムカエニ イクカラ マッテテ
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する

真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。

兄貴がイケメンすぎる件

みららぐ
恋愛
義理の兄貴とワケあって二人暮らしをしている主人公の世奈。 しかしその兄貴がイケメンすぎるせいで、何人彼氏が出来ても兄貴に会わせた直後にその都度彼氏にフラれてしまうという事態を繰り返していた。 しかしそんな時、クラス替えの際に世奈は一人の男子生徒、翔太に一目惚れをされてしまう。 「僕と付き合って!」 そしてこれを皮切りに、ずっと冷たかった幼なじみの健からも告白を受ける。 「俺とアイツ、どっちが好きなの?」 兄貴に会わせばまた離れるかもしれない、だけど人より堂々とした性格を持つ翔太か。 それとも、兄貴のことを唯一知っているけど、なかなか素直になれない健か。 世奈が恋人として選ぶのは……どっち?

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

処理中です...