俺が悪役令嬢だった件

知花虹花

文字の大きさ
上 下
81 / 85

恋は盲目 10

しおりを挟む
 なにやら、面倒くさいと思われるので、ここは一旦、空気を読んでみることにした。

 どうせ短期間のことなので、リンとアリスには、俺が留守中エリザベス達のことを任せることにした。

 リンがアリスには自分から説明すると言ってたので、俺は余計なことを言うのはやめた。

 いつも穏やかなリンだが、アリスが絡むと雰囲気が変わる。

 そうはいっても、リンがレオンに対して、ここまで険悪になったことは初めてだった。

 とりあえず、リン達にエリザベス達を任せた理由はもちろん、俺がいない時にあいつらがトラブルに巻き込まれないようにさせるためだ。

 学園にいる、いないにかかわらず、なぜかあいつら、トラブルを起こす。

 トラブルって、その辺に沢山落ちてるのかと思うほど、奴らはトラブルの種をどこで拾うかわからないので、万が一の事を考えて、俺がサファイア王国に留学している間は、エリザベスと親父にはレオンの屋敷に滞在してもらう手はずにしたし、俺も留学先からちゃんと帰れるように、極楽鳥に同行してもらうことにした。

「ついていくのは、俺だけでも充分だ」

 やみはそう言って、ぶーたれてたけれど、申し訳ないが、俺としては極楽鳥の方がいざって時は使えそうな気がする。

 極楽鳥も、一応、表向き留学生のお世話係兼、学園の引率の教師として行けることになり、同じ留学生扱いとして亮も当然ついてくることになった。

 だが、こいつらは、観光する気満々らしく、早速ガイドブックを買いに行ったらしい。

 極楽鳥の奴はウキウキしながらデートコースを調べ上げると息巻いてるから、勝手にしろと言った。

 極楽鳥を連れていく目的はただ一つだ。

 留学先から俺が無事にトルマリン王国にもう一度帰れればいいことだけからな。

 サファイア王国の秘密をトルマリン王国に漏らすつもりは一ミリもないのだが、信用してもらえるかはサファイア国王の、いや、王妃の胸三寸だろう。

 俺に対して秘密を漏らしてまでサファイア王国に亡命を進めているってことは、サファイヤ王国の王妃もトルマリン王国の滅亡が迫っているのは間違いないと思っているようだし、これからのストーリーを考えると概ね事実だろうとおもう。

 そして、その流れを変える方法が今のところない。

 だから亮がサファイア王国を気に入れば、俺としては、ブルーノに頼んで、そのまま置いてきてもいいと思っている。

 先に亡命の準備をしといてもらえると助かるしな。

 亮はどうせトルマリン王国でヒロインの役割をどのみちできないに決まっているから、サファイア王国に住んでも差しさわりはないだろう。

 あのマリーって女がヒロインとして頑張っているから、しばらく泳がせればいいしな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしのことはお気になさらず、どうぞ、元の恋人とよりを戻してください。

ふまさ
恋愛
「あたし、気付いたの。やっぱりリッキーしかいないって。リッキーだけを愛しているって」  人気のない校舎裏。熱っぽい双眸で訴えかけたのは、子爵令嬢のパティだ。正面には、伯爵令息のリッキーがいる。 「学園に通いはじめてすぐに他の令息に熱をあげて、ぼくを捨てたのは、きみじゃないか」 「捨てたなんて……だって、子爵令嬢のあたしが、侯爵令息様に逆らえるはずないじゃない……だから、あたし」  一歩近付くパティに、リッキーが一歩、後退る。明らかな動揺が見えた。 「そ、そんな顔しても無駄だよ。きみから侯爵令息に言い寄っていたことも、その侯爵令息に最近婚約者ができたことも、ぼくだってちゃんと知ってるんだからな。あてがはずれて、仕方なくぼくのところに戻って来たんだろ?!」 「……そんな、ひどい」  しくしくと、パティは泣き出した。リッキーが、うっと怯む。 「ど、どちらにせよ、もう遅いよ。ぼくには婚約者がいる。きみだって知ってるだろ?」 「あたしが好きなら、そんなもの、解消すればいいじゃない!」  パティが叫ぶ。無茶苦茶だわ、と胸中で呟いたのは、二人からは死角になるところで聞き耳を立てていた伯爵令嬢のシャノン──リッキーの婚約者だった。  昔からパティが大好きだったリッキーもさすがに呆れているのでは、と考えていたシャノンだったが──。 「……そんなにぼくのこと、好きなの?」  予想もしないリッキーの質問に、シャノンは目を丸くした。対してパティは、目を輝かせた。 「好き! 大好き!」  リッキーは「そ、そっか……」と、満更でもない様子だ。それは、パティも感じたのだろう。 「リッキー。ねえ、どうなの? 返事は?」  パティが詰め寄る。悩んだすえのリッキーの答えは、 「……少し、考える時間がほしい」  だった。

夫には愛人がいたみたいです

杉本凪咲
恋愛
彼女は開口一番に言った。 私の夫の愛人だと。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。

藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。 何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。 同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。 もうやめる。 カイン様との婚約は解消する。 でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。 愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません! 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。

寡黙な貴方は今も彼女を想う

MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。 ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。 シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。 言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。 ※設定はゆるいです。 ※溺愛タグ追加しました。

私が死んだあとの世界で

もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。 初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。 だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

別れてくれない夫は、私を愛していない

abang
恋愛
「私と別れて下さい」 「嫌だ、君と別れる気はない」 誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで…… 彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。 「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」 「セレンが熱が出たと……」 そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは? ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。 その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。 「あなた、お願いだから別れて頂戴」 「絶対に、別れない」

処理中です...