俺が悪役令嬢だった件

知花虹花

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恋は盲目 10

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 なにやら、面倒くさいと思われるので、ここは一旦、空気を読んでみることにした。

 どうせ短期間のことなので、リンとアリスには、俺が留守中エリザベス達のことを任せることにした。

 リンがアリスには自分から説明すると言ってたので、俺は余計なことを言うのはやめた。

 いつも穏やかなリンだが、アリスが絡むと雰囲気が変わる。

 そうはいっても、リンがレオンに対して、ここまで険悪になったことは初めてだった。

 とりあえず、リン達にエリザベス達を任せた理由はもちろん、俺がいない時にあいつらがトラブルに巻き込まれないようにさせるためだ。

 学園にいる、いないにかかわらず、なぜかあいつら、トラブルを起こす。

 トラブルって、その辺に沢山落ちてるのかと思うほど、奴らはトラブルの種をどこで拾うかわからないので、万が一の事を考えて、俺がサファイア王国に留学している間は、エリザベスと親父にはレオンの屋敷に滞在してもらう手はずにしたし、俺も留学先からちゃんと帰れるように、極楽鳥に同行してもらうことにした。

「ついていくのは、俺だけでも充分だ」

 やみはそう言って、ぶーたれてたけれど、申し訳ないが、俺としては極楽鳥の方がいざって時は使えそうな気がする。

 極楽鳥も、一応、表向き留学生のお世話係兼、学園の引率の教師として行けることになり、同じ留学生扱いとして亮も当然ついてくることになった。

 だが、こいつらは、観光する気満々らしく、早速ガイドブックを買いに行ったらしい。

 極楽鳥の奴はウキウキしながらデートコースを調べ上げると息巻いてるから、勝手にしろと言った。

 極楽鳥を連れていく目的はただ一つだ。

 留学先から俺が無事にトルマリン王国にもう一度帰れればいいことだけからな。

 サファイア王国の秘密をトルマリン王国に漏らすつもりは一ミリもないのだが、信用してもらえるかはサファイア国王の、いや、王妃の胸三寸だろう。

 俺に対して秘密を漏らしてまでサファイア王国に亡命を進めているってことは、サファイヤ王国の王妃もトルマリン王国の滅亡が迫っているのは間違いないと思っているようだし、これからのストーリーを考えると概ね事実だろうとおもう。

 そして、その流れを変える方法が今のところない。

 だから亮がサファイア王国を気に入れば、俺としては、ブルーノに頼んで、そのまま置いてきてもいいと思っている。

 先に亡命の準備をしといてもらえると助かるしな。

 亮はどうせトルマリン王国でヒロインの役割をどのみちできないに決まっているから、サファイア王国に住んでも差しさわりはないだろう。

 あのマリーって女がヒロインとして頑張っているから、しばらく泳がせればいいしな。
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