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恋は盲目 5
しおりを挟むこのブレスレットに関しては、どう贔屓目に見ても、色褪せた子供の玩具に見える。
イザベラが所有しているアクセサリーは、本物の宝石だし、ゴージャスなアクセサリーだから、それらを数々見ている俺にとっては、おもちゃだと少し見劣りするのでは?と思ってしまうし、俺的には手にじゃらじやらつけたくないんだよな。
「イザベラには悪いけど、あんまり俺は手にものをつけたくないんだよ、実験の時に邪魔になるから・・・」
「実験の時って?」
「ああ、そういわれてみたら、あっちの世界の学生の時の習慣だったな・・・」
いい加減この世界に慣れたと思っていたが、ふとした瞬間に、こうして出てきてしまう。
学校で実験するときは、薬品が付くといけないから、季節関係なく、長袖の白衣で時計すらつけなかった習慣は体が覚えているんだなあと思う。
それに、季節関係なく学生生活では学校で購入した白衣で主に過ごしていたしな。
俺の学校は制服がなかったので、私服での登校だったのだが、俺は成長期がなかったのか、ずっとちびだったので、母親が小学校の時に、大量に買った大きめのジュニアサイズの服が今なお難なく着れたため、普段からそれで登校していた。
それに、俺はインドアだったので、部活も文化部だったし、やんちゃな小学生なら服がボロボロかも知れないが、新品に近いほど、服は痛まなかった。
その代わり、亮がでかくなって、俺のおさがりを全く着なかったのだけど。
なので、俺がおしゃれを語るのは怪しいと思う。
しかも女の子とほぼ接していない生活だったから、おしゃれする必要性もなく、リアルの女心はさっぱりわからない。
それに、この世界に来てからも、おしゃれは全部人任せだったからな。
だが、俺だって二次元の嫁の推しの可愛い服装なんかは、正直とても可愛いと思うし、イザベラも・・・可愛いから似合いそうなんだよな。
この国特有のひらひらドレスとかだけじゃなく、できればカジュアルな服も着せたい気もしないでもない。
まあ、イザベラが着るということは、自分で着ることになるんだが・・・仕方ないか。
「ブレスレットってこれか?」
「うん」
つけてみる。
「あとネックレスでしょ、それから、この髪飾りとドレスも合わせて・・・」
はあ、これ・・・面倒くさい。
「イザベラが選んで着てつけた方が早いよ」
すぐにお手上げ状態になる。
でも、イザベラは、急に元気がなくなって、ポツリと言う。
「それが、最近はその体、なかなか動かせなくなっちゃった」
えっ?初めて聞いたぞ。
「そういえば、ここしばらく、デザートも取り上げられてなかったな。いつからだ?」
一気に不安がよぎった。
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