俺が悪役令嬢だった件

知花虹花

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その51

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 俺が鑑定したとき、一瞬、この女の子と目が合ったような気がしたのは気のせいじゃなかったようだ。

「あれ?悪役令嬢のイザベラじゃん、攻略対象のオランジークといるなんて、うけるう」

 あっ、これ俺のもっとも苦手な女子のような気がする。

 ヒロインの割にはちょっときつそうな顔立ちしてるなあと思いつつ、この感じだとヒロインじゃなさそうだし相手をしなくてもいいかな?むしろ関わらない方がよさそうだ。

 逃げるなら早い方がいいと思ったが、ん?でも、今、攻略対象って言ったな。

 しかも、オランじゃなく、オランジークってオランの正式名称だよな・・・こりゃもしかしてやばいか?

 オランが急に自分の名前を言われて、びっくりしているというよりはかなり怯えてるな・・・ならば仕方ない。

「攻略対象だからって、オランには手を出すなよ」

 と小声で言ってみた。

「はああ???なにそれ?頼まれても出さないわよ、はっきり言って好みじゃない」

 好みじゃないと言われたオランは一瞬心外だって顔したが、すぐにホッとした顔になった。

 オランだって一応攻略対象なのに、好みじゃないって言いきるのは、なかなか好みがはっきりしてるみたいだ。

 とりあえずオランについては安心していいみたいだ。

 でも、俺としてはオランはいい奴だし、顔もなかなかいい方なのに見る目ないなと思ったが、今はそんなことを言うのはやめておこう。

「そっ、それならいいんだ・・・」

 ちょっと、どもってしまった。

「だっさ」

 だっさって・・・思っていても本人の前で言わないだろ、失礼な奴だし、やっぱりこの女苦手だ。

「ねえ、レオンハルト様と王子はどこにいるの?あんたイザベラなんだから知ってるんでしょ?」

 レオンハルト様ってレオンハルト推しか?しかも王子も狙ってるのか?思わず動揺してしまう。

「えっ?」

 間抜けな返事しかできなかった。

「早く呼んできてよ、あなたのエミリアが待ってるって」

 あなたのエミリアって・・・ヒロインの名前だけど、なんで俺がレオンを呼んでこないといけないんだ・・・ていう前に、

「あっ、それから私、人以外はすべて却下だから」

「はあ?人以外ってなんだ?」

「あと、年下もダメ、眼鏡駄目、デブ駄目。オタク駄目、おじさん駄目、攻略対象のレオンハルト様か赤の王子どっちかにして」

 へっ、へええ・・・それって、全部人に属してるぞ、このヒロインもどき、あほだし、ペラペラしゃべりすぎる。

「残念だけど、レオンはもう彼女がいるから、それに赤の王子って・・・」

 レオンにはかなりお世話になっているし、一応、この地雷女から守った方がよさそうだな、危険すぎる。
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