俺が悪役令嬢だった件

知花虹花

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その43

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「他にもお土産、一杯あるよ」

 といって、カバンの中をゴソゴソし出したので、慌てて止めた。

「とりあえず、それら浄化してから持って来い」

 亮はそうだったと呟き、またカバンにしまった。

 でも、目をキラキラさせながら、

「オレ、ユニコーン見たの初めてだったけど、友達になってさ、背中乗せてくれるって言って乗せてくれたんだけど、太陽に近かったから暑くてさ」

 おいおい、ユニコーンだと???

「あと、サラマンダーとか竜とか沢山いてさ、はああ、充実した日々だった」

 はい?

「オレ、冒険家になりたいな」

 夢見るような顔した。

 成程、だから、顔が日焼けしたんだな。

 現実世界では、亮はお家、大好きだったのにな。

 ユニコーンにサラマンダーに竜だって・・・はあ、そうか、冒険家ですか・・・なら亮のことちょっと鑑定してみようかな・・・っておい、こら。

 驚愕の鑑定結果がでた。

「亮、お前また、レベルアップしてきたな?」

 亮はすっとぼけてたが、詳しく言い当てると、

「どうしてわかるの?」

「忘れたのか?俺は鑑定を持っているって言っただろ」

 一行鑑定でもなめんなよ、どうやったら、こんな鑑定結果がが出るんだよ。

「希代まれな勇者、あきら レベル、那由多って書いてあるぞ」

 亮はびっくりしたような顔をしたが、鑑定が使えるのオランだけと思ってたとぶつぶついい、

「えっと、たいしたことないと思ったけど、レベルアップしたの多分ドラゴンたちと遊んだからかな?」

 なんだと・・・

「ちょっと、ハードな遊びだったからね」

 ハードな遊びって・・・

「おい、ちょっと、後でオランにも鑑定で見てもらうからな」

「いいよ、鑑定は。実はオレもう師匠にしてもらったから。でもそういえば、オランの方が兄貴より鑑定は正確だって、師匠が言ってたな」

 あのくそ鳥め、確かに一行鑑定だけどさ。人に言われるとなんか腹立つなあ。

「それはそうと、お前のクラスにピンクの髪の毛した女の子はいないか?」

「えっ、オレ以外にそんな髪の毛の子、いるんだ?」

「だとしたら恥ずかしいから、俺みたいにかつらじゃないのかな?もっとも、もうオレ、髪の毛は魔法で好きな色にカラー変えることができるようになったけどね」

「それ偏見だぞ」

 俺は説教をする。

「最近は、ピンクの髪は男だって人気があるんだからな」

 芸人とか、歌手とか・・・

「それに、染めてない地毛だとしたら、とっても貴重な髪の色だから、特別なんだぞ、むしろかわいいを代表する髪色だ」

「えっ?なら余計オレは駄目だ。なにしろ可愛いはダメだな・・・」

「いや、お前じゃないから安心しろ」

 だんだん面倒なことになってきそうなので、話がこのまま脱線しないようにしなければ・・・

「とりあえずの話だが、ピンクの髪の子に、ベルがぶつかったらしい」

 でも言われてみたら、ピンクの髪が、かつらという可能性もあるか。

「そうなんだ、じゃあ、新入生をさりげなく探ってみるよ、オレのクラスにはいないと思うけど、一応、普通クラスの友達に聞いてみる」

「へえ、普通クラスと交流あるのか?」

「うん、新入生のうちは、まだ合同で授業もあるから・・・」

 そういえばそうだったな。

「じゃ頼むな」

 と言って亮と別れた。
 
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