俺が悪役令嬢だった件

知花虹花

文字の大きさ
上 下
26 / 85

そのにじゅうろく

しおりを挟む
 
 しばらく、見つめあって・・・いや、にらみあって? レオンが 笑っていった。

「極楽鳥と話があるんだろ、私は亮の伝説の品々を見てくるよ」

 といって部屋を出て行った。

 ああ、そっか、見つめあってると思ってたが、よく考えてみると極楽鳥とテレパスで会話してたのか・・・まあ、いい。

「さあ、俺にも話を聞かせてもらおうか」

 話は、簡潔に説明するとこうだったらしい。

 なんでも、俺が送った家庭教師を何人も追い出した亮だったが、その中の家庭教師の一人が、ものすごい優秀なやつだったらしく、魔力コントロールは極楽鳥に任せて、自分はマナーと勉強だけに特化して教えると申し出たらしい。

 まあ、それはいい。

「じゃ、なぜ伝説の剣を探すことになったんだ?」

 極楽鳥によると、その家庭教師がご褒美制度をつくって、マナーや学問を極める度に家庭教師が秘密の地図をくれて教えてくれたとのこと。だからこの国の地理に詳しい極楽鳥が、余裕で亮を連れて伝説の宝物が眠っているとされてるいわくつきの土地に行けたそうだ。

 そもそも、亮も極楽鳥も、魔力的にはかなり危険なところに行っても大丈夫なので、宝さがしのようで楽しかったのか、それ目当てに苦手なマナーも勉強し、普通の勉強にも力を入れたそうだ。それに冒険で鍛えることによって魔力コントロールもすぐにバッチリになったらしい。

 へえ・・・亮に興味がないことを強要しないで自主的にやらすなんて、その家庭教師なかなかやるな。

 どうやらご褒美アイテムとして巾着はそいつからプレゼントでくれたものらしい。

 すると極楽鳥が一冊の本を出した。

 これは家庭教師が最後の日に極楽鳥と、亮に渡したらしい。

 題名が、冒険の友

 へええ・・・草

 これに沿って数々のアイテムを集めたらしい。

 ちょっとやな予感が・・・

 ちなみにこれ、一冊だけだろうな、

 一応、うなずいたのでほっとしたが、人気のあるゲームの攻略本並みに結構な分厚さだ。

 まさかこの分厚い本に書いてあるお宝を全部コンプリートしてるんじゃないだろうなと思って慌てて本の中身をみる

 草 草 草


 パラパラみただけだが、相当ヤバいものが多数あった。

 それにしてもこの冒険の友・・・本当に良くできている。

「オリジナルで手作りだと言ってた」

 極楽鳥はこういったが、とても手作りには見えない。

 この一冊でゲーム要素もあって、シールやら、宝とは別にもらえるアイテムやらこまごま書いてある。

 しかも、どうやら仕掛けのある本みたいだ。

「これを渡した家庭教師はどこ行った?」

 気になったので聞いてみると、マナーと勉強の範囲が終わったらいなくなったらしい。

 おかしいな、後でイザベラの屋敷に問い合わせてみるか。

 何せ、亮の奴何人も追い返してたもんだから、はじめは身元がはっきりとしたものを雇ったはずだが、後半はもしかしたら能力さえあればに変わったかもしれない。
 
 だが、さすがに危険な人物は必ず引っ掛かるはずなのだから、心配はしてないのだが。

 家庭教師はジョーンズと名乗ってたらしい。

 俺はピンと来た。

 あっちゃあ・・・やらかしたな。どこかで聞いたことのある有名な冒険家の名前だ。

 うん、名前もきっと偽名だな、 まあ、そうなると、これ以上追うのは難しいな。

「ところで勇者になれるほど剣をマスターしたのは何でだ? あいつ、一応ヒロインだろ?」

「ああ、実は魔物が涌き出ているダンジョンがあって、あっという間にレベルアップ・・・」

 あっ、察し。

「もういいです。お腹一杯・・・」

 ため息をつきながら、言うと、極楽鳥はにやにや笑いながら出て行った。

 とりあえずはこの冒険の友でも読んでみるか。

 はああ、次から次へと、やらかしやがっって。

 でも、いいこともあった。

 後からレオン達に合流してレオン達が亮のお宝を物色してたら、有益なお宝もジャンジャン出てきたらしい。

 国中が喉から手が出るほどのお宝の山で、むしろ管理が大変になるといわれた。

 それに、万能薬とされているベルを治す薬の原料が入ってたから上手くすれば、治せそうだという。

 ただ、薬を精製するのに時間がかかるが、一ヶ月もすればできるという。

 そんなにかかるのかよ???

「魔法協会に頼んどいたから」

 とレオンに言われた

「助かる」

 レオンには世話になりっぱなしで、本当にいくらお礼を言っても足りないな。

 相当のお宝だったのか、亮もレオンにベタ誉めされてとっても嬉しそうだった。

 俺も一応、誉めてやった。

 それに、レオンに頼んで本物のフェニックスを見せてやった。

 案の定、亮は興奮している。

 亮の隣にいた極楽鳥は俺を見てとっても複雑な顔したけど、仕方がないからこれぐらいの嫌がらせで・・・勘弁してやる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する

真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。

兄貴がイケメンすぎる件

みららぐ
恋愛
義理の兄貴とワケあって二人暮らしをしている主人公の世奈。 しかしその兄貴がイケメンすぎるせいで、何人彼氏が出来ても兄貴に会わせた直後にその都度彼氏にフラれてしまうという事態を繰り返していた。 しかしそんな時、クラス替えの際に世奈は一人の男子生徒、翔太に一目惚れをされてしまう。 「僕と付き合って!」 そしてこれを皮切りに、ずっと冷たかった幼なじみの健からも告白を受ける。 「俺とアイツ、どっちが好きなの?」 兄貴に会わせばまた離れるかもしれない、だけど人より堂々とした性格を持つ翔太か。 それとも、兄貴のことを唯一知っているけど、なかなか素直になれない健か。 世奈が恋人として選ぶのは……どっち?

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

処理中です...