俺が悪役令嬢だった件

知花虹花

文字の大きさ
上 下
22 / 85

そのにじゅうに

しおりを挟む
「やっぱり朝早くから女の子の部屋にひとりで入る訳にはいかないからね」

 そりゃそうだけど、レオンの侍女って忍びか。

 俺としたことが、全然気がつかなかった・・・

 俺やっぱり疲れているのかな。

 それにしても、

「朝早いって、まだ寝れるんじゃん。」

 でも、俺だけじゃなく、やみも気がつかなかったみたいで驚愕の顔でレオンとレオンの侍女を見ている。

「だからオレ、レオンは嫌なんだ」

 やみがかなりご機嫌斜めになっている。

「まあ、まあ、優秀な侍女だから安心して」

 レオンは涼しい顔でお茶を飲んでいた。

 本当にいつの間に、どっからお茶だした・・・

 やみもいつの間にか、食べ物を口に放り込まれたのか、モグモグとしていた。

 なに食べたかわからないが、機嫌がいつの間にか、なおってる。

 でも、まだ寝ぼけている俺は、もうどうでもよかった。

 半分、寝ながら次に意識を取り戻すと、支度はすっかりおわっていた。

 やるな、レオンの侍女。

 どう見ても普通の人の良さそうな老婆にしかみえない。

 鑑定もレオンの侍女って一行だけだ。

 でも、俺のチャームポイントのドリルがなくなっている。

 ベルはともかく、俺の髪の毛の専属侍女でも無理だったのに。

 マジ助かるな、最近、このドリルが刺さるから、本気でそろそろ研究しないとなとと思ってたから後で方法を聞こう。

 何故なら銀色に輝く髪がストレートになっている。

 いったいどうやった?

 それどころか、うっすら化粧したのか、今だかつてないほどイザベラの美人度が上がっている。

 思わず、何度か鏡を見てしまった。

 妖精から女神になってるわ。

 やみがオレの仕事なくなったから、今日からはゆっくり寝るといって俺の影に入ってしまった。

 やみってなんの仕事してたんだと思いつつ、朝の準備を終え、授業を受けに行く。

 レオンの侍女はよくわかってる。

 俺が朝御飯をあまり欲してないことに・・・

 なので、コーンスープと、水を用意してくれたのを食べてでた。

 コーンスープは俺の好物だったし、お世辞抜きで物凄く美味しかった。

 しかも、俺はお茶より水というのも一発でわかるなんて・・・

 ベルなんて、何回いってもお茶だしてくるぞ、自分が飲みたいからって。

 おまけに、朝からガッツリ食べるから、付き合わされる俺の身にもなってくれと思っていたが。

 一応、教室までレオンがエスコートしてくれた。

 まあ、一緒のクラスだからエスコートも何もないんだけど。

 そのせいか、今日はクラスメイトも近付いてこなかった。

 レオンはご令嬢に人気はあるけど、男子にはすこぶる評判が悪い。

 ひと癖ありそうに見えるからな。

 でも、クラスメイトとせっかくフレンドリーになったのにちょっと残念かもな、と思いつつ、通りすがりの同級生達もまた遠巻きになってしまった。

 オランも俺とレオンを見たとたん、独り言をぶつぶつ言ったかと思ったら、

「今日は工房にこもるから」

 といって去ってしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

十年目の離婚

杉本凪咲
恋愛
結婚十年目。 夫は離婚を切り出しました。 愛人と、その子供と、一緒に暮らしたいからと。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

ヤンデレ男に拐われ孕まセックスされるビッチ女の話

イセヤ レキ
恋愛
※こちらは18禁の作品です※ 箸休め作品です。 表題の通り、基本的にストーリーなし、エロしかありません。 全編に渡り淫語だらけです、綺麗なエロをご希望の方はUターンして下さい。 地雷要素多めです、ご注意下さい。 快楽堕ちエンドの為、ハピエンで括ってます。 ※性的虐待の匂わせ描写あります。 ※清廉潔白な人物は皆無です。 汚喘ぎ/♡喘ぎ/監禁/凌辱/アナル/クンニ/放尿/飲尿/クリピアス/ビッチ/ローター/緊縛/手錠/快楽堕ち

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

もういいです、離婚しましょう。

杉本凪咲
恋愛
愛する夫は、私ではない女性を抱いていた。 どうやら二人は半年前から関係を結んでいるらしい。 夫に愛想が尽きた私は離婚を告げる。

王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。

みゅー
恋愛
 王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。  いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。  聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。  王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。  ちょっと切ないお話です。

彼はもう終わりです。

豆狸
恋愛
悪夢は、終わらせなくてはいけません。

処理中です...