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そのさん
しおりを挟むはあ、このまま、ずっと本を読んで暮らしたい。
俺は本気でそう思っているのだが、そういうわけには、いかないんだよな。
俺は、もうとっくに、この世界で順応することに決めていた、人間、諦めが肝心なんだよ。
元の世界に帰れる要素がなさそうだし、もうすでに、何日もぐっすり寝ているので、夢落ちも期待できない。
スマホも諦めた今、本ぐらいは許して欲しい。
初めはそりゃ、イザベラのお風呂の時間がすごく楽しみだったけど、それも、もう慣れた。
そもそも、お嬢様なんだから一人で入る訳じゃない、なにせお風呂にも専属の侍女達がいる。
しかも3人も。
なんでも、髪の毛係や身体係、水分補給係にわかれているらしい。
正直要らね。
だからお風呂に入っても、俺は自分の身体を一切触ってないのだ。
まあ、俺は陰キャなので、今は自分の身体だが、イザベラに触る勇気はない。
あと、母親が大活躍したせいで、ガラクタ置き場に眠っていた骨董品となってたマッサージ機に、魔力をそそぐとあら、不思議。
俺をますます、ダメ人間にする、家電の出来上がり。
しかし、俺がまじでダメになりそうな寸前のところで毎回、呼び出される。
仕方がない。
行くか。
イザベラがもうすぐ誕生日だから、色んな商人が入ったり、出たりしている。
ドレスだけでも、もう何着も試着したし、アクセサリーもウンザリするほど見た。
悪役令嬢とはいえ、本編の設定では、仕事が忙しくても、両親二人ともイザベラに甘くて、何でも買ってくれるような人たちだ。
ドレスとアクセサリーに全く興味がないのだが、なぜちゃんと準備につきあうかは大きな理由がある。
そう、ここは虹プリの世界である。
うっかり攻略対象の色を身体にまとうと、そのまま攻略ルートに入りそうなので、ドレスも、アクセサリーも全部、銀一色に統一した。
最初に試着をバックレたら、真っ赤なドレスができてたからな。
赤は王子の色だ、王子色に染まりますって、踊りながらアピールするようなもんだ。
本当に油断ならない。
それにしても、夜会デビュー・・・本当に憂鬱だ。
攻略対象に会っって、すぐに婚約フラグたったらどーするんだ。
俺の専属侍女になれたベルは、うっとりした顔でドレスとアクセサリーを見た。
専属侍女の地位を実力で勝ち取ったらしい。
ある意味、尊敬する。
そうそう、とりあえず母親が二人いるのでうっかりお母さんとよばないように、なるべく、ベルと呼ぶことにした。
「赤いドレスもすごい似合ってたけど、銀色も神秘的でいいね。センスよかったんだね。シースルーは正解だよ。」
「へえ、これシースルーっていうんだ。ファッションはよくわからんけど」
「銀色の服って一歩間違えたら宇宙人みたいだから、このドレスとアクセサリーの組み合わせ神だよ」
「それな・・・」
宇宙人だろ、俺もちょっと思ったけど、この世界では、もしかすると斬新かもしれないが・・・
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