ジェノサイド

水ノ灯(ともしび)

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ぐじゅぐじゅと内側で動かしていた指は三本になっており、浅いところで括約筋をほぐしている。淡々とした作業でも感じてしまって龍崎の中心もしっかり立ち上がっていた。

「なあ、もういいだろ……」

喉奥で締め付けられていた男が熱い声で言う。龍崎は唇をしっかり締めたまま抜き取ると、手の甲で濡れた口元をぐいっと拭って笑う。枕元のコンドームを取り、歯で乱雑に開封した。

「男同士でもつけんのかよ」

本当に初めてなのだろう。男に訊かれて龍崎は呆れたように肩をすくめてみせた。言葉が出なかったのは単純にコンドームを咥えていたからだ。

パッケージから出したものを輪を立てるように口に嵌め、男の中心を指で支える。そのまま口付けるように顔を寄せ、ゆっくりと中心を口に含んでいった。

根元まで飲み込んでから口を離せば、男の中心にはしっかりとコンドームが装着されていた。龍崎はいたずらっぽく笑って男に跨る。蕩けた後孔を先端に押し付けて腰を揺らした。

「じゃ、いただきまーっす」

愉快そうに言って龍崎はゆっくりと腰を下ろしていった。

「っあ…!?」

男はあまりの心地よさに思わず声を漏らす。龍崎はにんまりと笑って根元まで飲み込んでいった。きゅうきゅうとキツく締め上げられるのに中は柔らかくてぬるぬるとしている。根元から先端にかけて搾り取るように揺動する肉壁が抗い難い快感を流し込んできた。

射精しそうになるのをなんとか堪えて男は快感に潤んだ目で龍崎を見やる。龍崎は男に構わず腰の上下を始めていた。

「あはっ、ん、ここ気持ちぃっ…」

甘い声をあげて自分の感じるところに擦りつけて龍崎は淫猥に微笑む。男の腹に手をおき、腰をくねらせて踊るように貪った。男は顔を顰めて先に絶頂するのを堪えているようだが、龍崎には幾分余裕が見える。

くすくすと笑いながら見下ろしてわざと雁首のあたりを締め付けたり先ばかりを素早く抜き差ししたりしては反応を楽しんでいた。

「ふっ、あっつ…」

龍崎は頬に伝った汗を拭ってモッズコートを脱ぎ捨てた。チリ、と軽やかな音がしてドッグタグが現れる。白いシャツに乗った銀の板に男は目を見張った。

「てめっ…政府の犬か…!」

睨みつけてくる男に龍崎はばれちゃったか、と軽く言う。龍崎の腰の動きは止まらず、男は快感に流されまいと体に力をこめる。しかし自然と揺れそうになっている腰に龍崎はくすっと笑った。

射精させないようギリギリの刺激を与えているのだ。射精への欲望は膨れ上がっているだろう。

「そうだよ、殺人者同士仲良くしよーよ。んあっ、ね、何人殺したの?」

ゆるゆると刺激を続けながら龍崎は男のシャツを捲り上げ、腹を露わにさせた。挑発するように指先で腹筋を辿り体を起こそうとする男をシーツに押し戻した。きゅうっと締め付けてやれば甘い声を漏らして唇を噛むのが可愛らしい。

「おぼえて、ねっ…ん、キメてる時に女犯して、殺してんだよっ…」

へえ、と楽しそうに言って龍崎はピアスのついた男の耳を撫でた。腰を止めて締めたり緩めたりと繰り返すだけでも辛そうな息遣いが聞こえてくる。

「いい趣味してんじゃんか。牧師サマに懺悔して許してもらうってのはどう?」

はふはふと吐息を漏らす唇は開きっぱなしになり、唾液が伝っていた。かぁわい、とそれを見つつ龍崎はシャツのボタンを外していく。ドッグタグが素肌に触れて冷たかった。

「俺まだ許されてないんだよねえ。懺悔の途中で牧師サマが気絶しちゃってさ」

おかしそうに話す間も龍崎の内壁は別の生き物のように男の中心を揉み込んでいた。うねうねと下から上に扱きあげ、根元をキツく締め付ける。男は声を漏らすまいとしているがシーツを握ってビクビクと震えるばかりだ。

龍崎が六歳ほどの少女を犯し殺した話をしている時も、会社帰りのサラリーマンにたっぷり犯された後絞殺した話をしている時も、男は上がった息を整えることができない。

「ラブアンドピースならぬキルアンドレイプってとこかなぁ。快楽主義者の気持ちはよーく分かるよ。あはは、なぁに、もう射精したいの?」

目を細めて詳しく情景を語っていた龍崎は、我慢できずに腰が動き出しているのを見て柔らかく微笑んだ。出来の悪い弟を見る姉のような瞳で見下ろし、唇の端をふわっと持ち上げる。

「射精したら殺しちゃうよ?」

冷たい響きを持った言葉に男は一瞬息を飲む。何の殺気も感じさせない動きで額に銃口が突きつけられていた。

ひっ、と引きつった声を漏らせば慈愛に満ちた龍崎の笑顔は狂った殺人鬼のものへと変わっていた。

「さぁて、いつまで我慢できるかな?」

やめて、と弱々しい声を上げるのも待たずに龍崎が腰を上げた。

ずるずるっと引き抜かれたかと思いきや思い切り締め付けた状態のまま根元まで飲み込まれる。その間も揉みこむような肉壁の動きに翻弄され、焦らされ続けた中心はビクビクと震え始めてしまう。

恐怖からか快楽からか、見開かれた男の目にじわっと涙が滲んでいく。

龍崎は犬歯を剥き出しにしてにやりとし、心底愉快そうに声をあげて笑った。

嫌だ嫌だと首を振りながらも男の腰は龍崎に合わせるように律動している。

自分の下にある哀れな獲物の姿に興奮し、龍崎も絶頂に向かっていく。

「いやだぁ!イきたくなっ、射精したくないっ…!」

子供のように声を上げてぐずり始めた男は抵抗もできずに必死にシーツにすがっている。もう気を抜いたら射精してしまいそうなのだろう。

自分の内側で限界まで硬く膨れ上がった中心を感じて龍崎は愉悦に浸る。うっとりとした表情で男を見下げ、唇を舐めた。

「逝け」

「っ、うあああああっ!」

冷たい響きと同時に男の体がガクンガクンと揺れる。焦らされに焦らされ、我慢して我慢してようやくたどり着いた絶頂は凄まじく、目の前が真っ白になる。

あまりの快感に全ての思考は塗りつぶされて溢れ出した精液とともに理性も吐き出されてしまう。

龍崎も声をあげて絶頂に達し、男の腹に精液をぶちまけた。

溜まった精液を男がまだ吐き出している最中、龍崎は情欲の渦巻く瞳で銃口を定めた。感じ入った顔つきで引き金に指をかけ、男と目を合わせる。男の快感に溺れた瞳を見やると引き金を引いた。

銃声がひとつ鳴り、額に立派な穴が空く。シーツがみるみる赤色で染まっていく。

「うあっ、んっ……!」

龍崎は高い声を上げて自分の体を抱きしめるとビクビクっと震えた。はあ、と余韻の覚めきらない吐息を漏らしてゆっくりと腰を上げる。

未だに硬いままの中心が抜け落ち、ローションと腸液の混じったものが開きっぱなしの後孔からトロトロと零れ落ちた。粘度のある液体は筋となってシーツに垂れ、小さな水溜りをつくる。

龍崎は枕元のティッシュで軽く下半身を拭うと脱ぎ捨てた下着とズボンを身につけた。シャツのボタンを止め、モッズコートを羽織る。ベッドの脇に立って死に絶えた男の体を眺め、指を伸ばした。

「ファッキン・クライスト、ザーメン!」

自身の吐き出した精液を逆十字に男の腹に塗り広げ、いい加減な祈りの言葉を吐くと龍崎はゲラゲラと笑った。

男の瞳は硝子玉のように空虚に宙空を見上げている。

くるくると銃を回しながら龍崎は上機嫌な足取りで部屋を後にする。むせ返るような血と精の匂いが漂っていた。




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