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ひんやりじんわり
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目が覚めた時には、すっかり日が昇っていた。今は昼前だろうかと思いながら青田は明るい部屋をぼんやりと見やる。十分な睡眠を貪った体はすっかり脱力していて、気怠く寝返りをうった。寝息を立てている赤谷の寝顔を見やる。暖かくなってきているが夜はまだ寒く、寄り添って眠っても暑くはなかった。
毛布が外れて素肌が覗いている。冷えるだろうと被せてやり、身を寄せた。少し冷たくなっている肩に触れる。青田の手の熱がじんわりと移っていく。心なしか赤谷の体から力が抜けた。
そろそろ赤谷も目を覚ます頃だろう。何か温かい飲み物でも持ってきてやるかと、のっそりと体を起こした。ひやりとした外気が触れて寝起きの温まった体には少し肌寒い。青田が身を起こす気配を感じて、赤谷は薄っすらと目を開けた。まだ夢うつつでぼうっとする視界に、青田の背中を見る。ベッドがたわんだ。
「あおたぁ………?」
置いていかれてしまいそうで、小さく呼びかける。掠れた不安そうな声に、青田が振り返った。
「起きたの?」
優しい声とともに、柔らかく目が細められる。青田の温かい手が頬を包んだ。赤谷は安心してほうっと息を吐く。まだ眠たそうな瞳からとろんと力が抜けた。
「すぐ帰ってくるから」
青田の手が赤谷の頭をぽんぽんと軽く叩いた。そっと手が離れていく。赤谷は毛布に包まったまま、青田がベッドから降りて行くのを見送った。だぼっとしたズボンを身につけただけの、露わになった背中が部屋を出て行く。扉が閉まり、青田の足音が遠くなっていくのを聞いていた。赤谷は自分の頭に手をやり、くしゃりと髪に触れた。
「……これはときめくわ……」
呟いて、赤くなった顔を隠すように毛布を引き上げた。労わるような手つきが嬉しくて、気恥ずかしい。口元の緩みを誤魔化すようにごろりと寝返りを打った。青田が帰ってくるまでにいつも通りの顔に戻れるだろうか。毛布を引き寄せる。昨夜のことを思い出し、さらに気恥ずかしくなってしまった。扉が開く音を背中で聞きながら、すっかり体温が上がっているのを感じていた。
毛布が外れて素肌が覗いている。冷えるだろうと被せてやり、身を寄せた。少し冷たくなっている肩に触れる。青田の手の熱がじんわりと移っていく。心なしか赤谷の体から力が抜けた。
そろそろ赤谷も目を覚ます頃だろう。何か温かい飲み物でも持ってきてやるかと、のっそりと体を起こした。ひやりとした外気が触れて寝起きの温まった体には少し肌寒い。青田が身を起こす気配を感じて、赤谷は薄っすらと目を開けた。まだ夢うつつでぼうっとする視界に、青田の背中を見る。ベッドがたわんだ。
「あおたぁ………?」
置いていかれてしまいそうで、小さく呼びかける。掠れた不安そうな声に、青田が振り返った。
「起きたの?」
優しい声とともに、柔らかく目が細められる。青田の温かい手が頬を包んだ。赤谷は安心してほうっと息を吐く。まだ眠たそうな瞳からとろんと力が抜けた。
「すぐ帰ってくるから」
青田の手が赤谷の頭をぽんぽんと軽く叩いた。そっと手が離れていく。赤谷は毛布に包まったまま、青田がベッドから降りて行くのを見送った。だぼっとしたズボンを身につけただけの、露わになった背中が部屋を出て行く。扉が閉まり、青田の足音が遠くなっていくのを聞いていた。赤谷は自分の頭に手をやり、くしゃりと髪に触れた。
「……これはときめくわ……」
呟いて、赤くなった顔を隠すように毛布を引き上げた。労わるような手つきが嬉しくて、気恥ずかしい。口元の緩みを誤魔化すようにごろりと寝返りを打った。青田が帰ってくるまでにいつも通りの顔に戻れるだろうか。毛布を引き寄せる。昨夜のことを思い出し、さらに気恥ずかしくなってしまった。扉が開く音を背中で聞きながら、すっかり体温が上がっているのを感じていた。
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