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最強の勇者の生誕

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「う...おぇぇぇ!!!」

 私は吐いていた。

 目の前で仲間達が1人1人死んでいき、その度に私の目の前にウィンドウが表示されていた事に。

『高い友情を育んだパーティメンバーが死んだ事により【回復術師】の【友情の幻影】と【友情の幻聴】と【輪廻自生】を取得しました』

『【輪廻自生】の効力により死亡したパーティメンバーである個体名【シュナ=レイスタン】の全経験値にステータスとスキルが自身に蓄積されます』

『【輪廻自生】の効力により死亡したパーティメンバーである個体名【アルシェ=エトランゼ】の全経験値にステータスとスキルが自身に蓄積されます』

『【輪廻自生】の効力により死亡したパーティメンバーである個体名【ラカラ】の全経験値にステータスとスキルが自身に蓄積されます』

『【輪廻自生】の効力により死亡したパーティメンバーである個体名【石川修斗】の全経験値にステータスとスキルが自身に蓄積されます』

『【輪廻自生】の効力により死亡したパーティメンバーである個体名【シュガー】の全経験値にステータスとスキルが自身に蓄積されます』

 そしてついには和希まで目の前で殺されたのだから吐かずにはいられない。

『自身が愛する者の生命の消滅を確認。これより世界最後の勇者である貴方の自我の崩壊を防ぐために覚醒スキル【これから永遠に続く絶望と地獄を前にしても絶対に折れない鋼の心】を強制習得させます』

 なぜだろうか? 皆が目の前で死んだはずなのにそのウィンドウが出てからはぴたりと感情の渦が止まる。

 まるで大嵐の濁流によりダムが決壊寸前だったはずなのに一瞬にして濁流が止まり、そのままその中にあったはずの水が全て引いたような気分だ。

 目の前で和希と融合しようとしている愛川に私は1発拳を打ち込んだ。

「ぐっ!? 優樹!? 貴方の心は完全に折ったはずなんだけど...。なんでそんな軽快に動けるの?」

「...さあ? 私にも良く分からない。けど私の中にいるが声をくれるんだ。それがある限り私はたとえ1人になっても戦える!!!」

 怖い顔で私のことを見てくるが、私の精神は至って冷静だった。

 そして最後に得たのはもちろん...。

『【輪廻自生】の効力により死亡したパーティメンバーである個体名【高坂和希】の全経験値にステータスとスキルが自身に蓄積されます』

 愛する者の力だった。
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