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【感情の視認】

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 俺は目を凝らして愛川を眺める。

 ピンク色の愛情をめいいっぱい俺に向けてくれているのだが、それは本当の愛ではないような気がする...。

 いや、彼女は本心で俺のことを好いてくれているのはわかるのだが、それは完全に一方通行な愛なのである。

 俺の意志を封殺していた時には感じなかったが、俺の意志を尊重するなどと言っておきながら俺の意志を捻じ曲げていたとようやく理解できた。

 優樹の事を完全に消却し、自分のことだけを俺の記憶の中に入れ込んでいたのは悪意があるだろう。

「カズ君...♡ 早くこっちにきて肌に触れさせて♡ 私はカズ君と一緒ならそれで良いの♡」

 相変わらず意味不明な気色わるさを発揮している愛川と距離を詰める俺。

「和希!?」

 驚く優樹に俺は再び指示を出した。

「優樹!!! もう作戦はなしだ! 後はこいつにどれだけ喰らいつけるかで勝敗が決まる!!!」

 そう言いながら俺は杖を振り上げて殴りかかった!

「杖で殴って私にダメージが入るとでも?」

 ニヤニヤと笑う彼女の感情は相変わらずの色だ。

 俺と戦っていると言うのに俺だけを見ている時の彼女の感情はピンク一色なのである。

 しかし、俺が優樹に声をかけた瞬間だけはドス黒い黒一色となっていた。

 緩急の激しいピーキーな性格をしている彼女を相手にするのは正直言ってかなり厳しいが、逆に言えば俺が優樹と話し合っている間は激しい攻撃が来ると読みやすいのも事実。

 優樹が【優樹の拳EX】を発動させながら俺と連携し始めると明らかに不機嫌そうな態度を取り始める愛川。

「カズ君に相応しいのは優樹じゃなくて私だよ!」

 そう言いながら優樹の拳を絡め取り、そのままはがいじめにしてしまう。

「くっ!?」

「いくら優樹の身体能力が高くてもこれだけのレベル差までは覆らない。勝負あったかしら?」

不敵に微笑む彼女に対して俺はこう叫んだ。

「今だ! 【生命リンク】!!!」
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