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愛川のせいじゃない②

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 俺は優樹の説明を聞いて驚愕していた。

「なっ...! 俺が愛川に拐われていただと?」

「うん、今の和希は覚えていないのかもしれないけど、私達は愛川と戦ってズタボロにされたの。今の和希と私が出会った時酷い状態だったでしょ? あれって愛川に精神をズタボロにされるまで嬲られたからなんだ」

 俺は優樹の言葉に意義を唱える。

「嘘をつくな! いくら優樹でも愛川の悪口は許さないぞ!!」

 俺はそう叫びながら彼女の名前を叫ぶ。

「...和希」

「なんだ?」

「なんで和希は私のことを下の名前で呼ぶの?」

「...それは」

 ふと気がついた。

 石川の下の名前など顔を見ても思い出せないが、優樹の場合は触れただけで【優樹】だと連想されたのは不思議ではある。

「...」

「...和希。私達との思い出はまだ和希の中にあるんじゃないかな? 愛川がいくら魔法で私達との記憶を消去したとしても心の奥底にある本当の思い出だけが消せないみたいだね」

「...まさかな」

 俺は思わずそう口にしていた。

 愛川がこいつらの言う通り俺を誘拐したと言うのであればなんとなく話は見えてくるのだが、やはり愛川から感じられたあの愛情は本物だと思うのだ。

 第一にそれならなぜ俺を連れて行ったのだ? こいつらの話を聞く限り愛川と当時の俺との間には絶対的な差があった事は明白なのに...だ。

 さっさと始末すればいいだろうと言う話になってくる。

(...愛川の言うことが本当のことなのか? それともこいつらの話が本当にあった事実なのか?)

 その真相を確かめる為にも少しの間こいつらと同行した方がいいかも知れないな。
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