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楽園㉗

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 夏休みのある日。

 ピンポーン。

 俺の家のインターホンが鳴り響く。

「結美か?」

 そう思いながら一階に降りる俺。

「和希! 出て頂戴!」

 母さんにそう言われたので俺は玄関に向かう。

「なんだよ結美、今日も遊びに...」

 そう言いかけた時に俺は声を失った。

「和希! おはよう!」

 緑髪の女の子が俺の家の前に現れたからである。

「誰?」

「和希? 私だよ」

 そう言われても思い出せない。

「ええ~? 本当に忘れちゃったの? 私の名前は...」

 そこまで言いかけた時に俺は夢の中から目覚めるのだった。

「ん...」

 眩しい日差しが差し込む中、俺は目覚める。

「カズ君おはよう」

 なんだかいつもより結美の表情が固い。

「どうしたんだ?」

「えっ...? ううん...なんでもないよ」

「そうか? と言うかそろそろ夕飯の時間だな。そろそろ城に帰ろう」

 そう呟きながら俺が歩き出すと...。

「あの女...! まだカズ君の中に存在していたのね...!」

 と言う憤怒の声が聞こえてきたのだった。
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