幼馴染と一緒に勇者召喚されたのに【弱体術師】となってしまった俺は弱いと言う理由だけで幼馴染と引き裂かれ王国から迫害を受けたのでもう知りません

楽園⑲

　トイレを終えた結美が出てくると再び走り始めるリムジン。

　それと同時に後ろから追走してくる車があることに気がついた俺。

(あの車高速道路に入ってからずっとついてきているな...。多分一般人に扮したSPの車だろうな)

　先ほどトイレにいる間、明らかに人の出入りが多くなったと感じたので、おそらくSPの輩が何人か混じっていたのだと思う。

　そんな事は知らないであろう結美は俺との旅行を楽しむ。

「ねぇねぇネズミーランドに着いたら何に乗る！？」

　パンフレットを広げて微笑む彼女の笑みは眩しい...。

「私さ！　ネッズミーと写真撮りたい！　勿論カズ君と一緒にね！」

「分かった分かった。写真くらいいくらでも一緒に写ってやるよ」

「本当！？　やった！　ネッズミーランドで沢山2人の思い出作ろうね！！」

　目を輝かせながらそう呟く彼女の笑顔は本物だ。

　それだけ俺との旅行を楽しみにしていたのだろう。

　そう思うと楽しまないのは失礼だと理解した。

　それに、今回の旅行代金は全てあちら持ちだと言う事だ。

　俺は楽しそうに笑顔を向ける彼女にそっと微笑むのだった。