幼馴染と一緒に勇者召喚されたのに【弱体術師】となってしまった俺は弱いと言う理由だけで幼馴染と引き裂かれ王国から迫害を受けたのでもう知りません

クリスティーナ防衛戦

　俺たちの伝令役はラカラの分身体だ。

　ラカラの分身体は全て情報を共有しているので、とてつもなく便利である。

　最早携帯電話と言っても過言ではない程の精度を持っていると思う。

　一撃で攻撃をもらうと消えてしまうデメリットこそあるものの、それを差し引いてもメリットの方が圧倒的に大きい。

　しかも【影分身】は【分身】との併用もできると検証で分かっている。

　この二つのスキルの違いはただ一つ。

【分身】は自分の周りにしか出現させられず、本体と同じ行動しか取れない。

【影分身】はラカラの思考のまま動くことのできる分身体を作り出す能力であり、今の俺たちの横に張り付いて自分の意思で動きことのできる、より汎用性の高いスキルである。

　しかし、併用できるとなればラカラは一人で40人分の兵力に化ける事ができるという事だ。

　現に今も分身を活用して雑魚どもを殲滅している。

　ブーメランを使った範囲攻撃で彼女の右に出る者はいないだろう。

　俺はそんな強力な範囲攻撃はできないので、この場に留まり皆が戦っている奴らにデバフをかけ続ける。

　そして優樹は仲間と兵士達にバフをかけて少しでも戦力を上げる。

　優樹のバフがかけられた兵士はそれなりに戦えるようになっていた。

　まあ、雑魚1匹に3人がかりでどうにかなると言った所だがな...。

　俺のデバフと優樹のバフ恩恵を受けてその程度とは情けない奴らめ...。

　俺はそう思いながら兵士たちを睨んだ。

　ちなみにシュガーのお陰で俺たちの守りは万全だ。

　なんだかんだ言っても流石は勇者である。

　それなりの戦果を上げてくれているな。

　しばらく戦っていると雑魚どもが撤退し始めた。

「さぁてと、ここからが本番だろうな」

　俺がそう呟いた瞬間に遠くから巨石が町の中へと飛んでくるのでした。