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夏休みの話

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「そう言えばさ、和希の母さんに私が助けられた夏休みの日のこと覚えている?」

「...ああ」

 勿論覚えているさ、最近よく見るからな...。

「和希が溺れて私が助けに入ったのに結局2人とも溺れちゃったんだよね。そして和希の母さんに助けられたんだ。あの時のことは今でもすっごく鮮明に覚えてる。和希の母さんには今でも感謝してる」

「...元はと言えば俺が溺れたのが悪いんだから優樹が気に病む必要はないだろ」

「そうかもしれないけどさ、結局和希を助けて溺れちゃったのは私自身だから反省してる。今度はあんな結果にならないように戦争でも頑張るからね!」

 ニコッと笑顔を浮かべる彼女を見た俺は少しだけ心が軽くなった。

「そうだな。所で優樹、あの時にもう1人いたのを覚えているか?」

「もう1人? 私と和希と和希のお母さんだよね? もう1人いたって事はないと思うんだけど...」

「...そうか」

 相変わらず優樹は彼女の事を影も形も思い出せていないようだ。

 シュガーに質問してみても同じ感じだし、これはやっぱり俺がおかしいのか?

 存在するはずのない存在を存在していると認識している...。

 もしかしたらこれが呪いの影響なのかもしれない...。

 難しそうな顔をしている俺の手に自身の手を置いてくる優樹。

「難しい顔してないで楽しもうよ! 和希が珍しく休みの日をくれたんだしさ!」

「...そうだな」

 本当に自分でもらしくない事をしていると思う。

 貴重な2日間を休日に当てるなんてどうかしている。

 しかし、なぜだろうか? 俺の本心がここで休みを取らなければ後悔すると囁いているのだった。
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