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【サウザンド・クリステーナ号】

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 俺たちを乗せた【サウザンド・クリステーナ号】は航路に乗り出した。

 波を掻き分けてどんどん進んでいく姿は雄大とさえ言えるだろう。

 まさに軍艦と言う様な大きさのこの船が進む姿は圧巻だ。

 甲板に乗っている俺ですらこれだけ感じているのだから、外から見ている者達からの衝撃は更に大きい者となっているだろう。

「ここにいましたか、【弱体術師】様」

「リュートか」

 リュートの奴が俺に声をかけてきた。

「ここはいいでしょう。前に進む感じが1番する甲板ですからね」

「まあ、悪くないな」

 船旅の心地よさを感じられるこの場所は正直言って気に入った。

 程よく肌を刺す波風と塩の匂いに昔泳いでいた記憶を思い出してしまう。

 未だに名前を思い出せないあの娘のことをがいまだに気になっていた。

「はぁ...」

 俺が大きくため息を吐いていると彼が俺に皮袋を渡してきた。

「飲みます? 果実酒ですが」

「嫌、酒は良い」

 俺は丁重にお断りすると彼は軽く酒を煽る。

「ふぅ、勤務中の酒は最高ですね」

「...騎士が勤務中に酒を飲んで良いのか?」

「ほんの少しくらい問題ありませんよ。それに私は酔わないですからね」

「なんだ? 酒に強いのか?」

「いえ、私は精霊達の加護があるので酔わないんですよね。じゃあなぜ酒を飲むのかと聞かれたら味が好みだと言うしかありませんが」

「精霊の加護?」

「ええ、精霊の加護です」

 また知らない単語が出てきたが、こちらも大体推測できる。

(大方上位のEXスキルか何かだろう)

 そう思いながらも船はどんどん大聖堂へと向かって突き進んでいくのでした。
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