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馬車の旅

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 俺たち以外にも数人を乗せた馬車が森の中を移動する。

 ガタゴトと揺れの強いボロ馬車を選んだのですごく安く移動できそうだ。

 まあ、かなり背中と尻が痛いけどな。

 しかしまあ、あの時から気まずい雰囲気がずっと充満している気がする。

 優樹の自責の念が馬車内を制圧しているみたいで、誰も声を出さないのだ。

「私のせいで...」

 とぶつぶつ呟く彼女を見た俺は思わず彼女の頬を引っ張叩いた。

 パチンといい音がなるが威力はそこまでない。

 俺の行動に周りの客はどよめいていたが気にしない。

「今のが優樹が悪いと思う分の罰だ。俺がお前に罰を与えた。これでもう優樹のせいだった分は支払い完了だ。もう優樹は悪くないからいつまでも自分を責めるのはやめろ」

 いい加減にして欲しかったので俺は行動に出る。

 俺はいつもの優樹に早く立ち直ってほしいからこそ罰を与えたのだ。

「ふう...」と息を吐きながら俺は彼女の横に座る。

「少しは落ち着いたか?」

 素気なく俺が聞いてみると「うん...。ありがとう」と答えてくれた。

「そうか...、じゃあ次は優樹の番だな。俺を引っ張叩いてくれ」

「えっ?」

 俺のせいでシュナは家族を失っているんだぞ? 俺にも罰があって当然だろう?」

「でも...」

「でもじゃない。そうしないとフェアじゃないからな」

 俺の言葉に優樹は頷いてくれた。

「分かった。行くよ」

「いつでもこい」

 パチン! とこれまたいい音が出たが全く痛くない。

 お互いの頬が少し赤くなっているのを見てなんだかんだかおかしくなった俺たちは笑い合うのでした。
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