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天使...
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俺が部屋に入ると、その部屋にいたのはエリサと名も知らぬ白髪の少年だった。
「誰...?」
彼女が俺の存在に気がつきこちらに振り向く。
「あなた...か...、ここへ何しに来たの?」
いつもの明るい感じの彼女は今ここに無く、しんみりとした表情で俺にそう告げた。
「ここは何なんだ?」
俺がそう聞くと彼女は返してくれる。
「ここは合成獣誕生の地...、人類初キメラが作られた場所よ」
「ここが?」
「ええ、そしてこの子がその最初の犠牲者...、ルクル...私の弟...」
「何?その子が...か?」
俺は目を疑った。
確かにその白髪の少年は人間ではあるが...。
「その背中に生えてる物...それはまるで...」
「天使の羽...みたいでしょ?」
彼女は不満そうにその翼を見上げる。
少年の姿はまるで童話やおとぎ話にでてくる天使そのまんまのイメージである。
背中から生えた白く綺麗な羽はとても美しいと感じるが...、彼の姉がエリサであると言う証拠はどこにもない。
「嘘だな、お前とそこの少年に共通点があるとでも?」
髪の色や見た目、顔のパーツ。
少年全てがエリサとは程遠く、似てるとは言い難い形状だったのだ。
だが、その言葉を聞いた彼女は殺意のある瞳で俺を睨んで来た。
「ルクルは私の弟...、それだけは真実であり事実、それを疑うというのは万死に値する狼藉と私はみなす...」
ゆっくりと弟から離れ、俺を見つめるその迫力に気圧される俺。
それに...、彼女からは確かに彼に対する兄弟愛のような感情がある事が確かに感じられる。
「本当にそいつがお前の弟なのか...」
俺は何も言えずにただ弟君を眺める。
安らかに眠るように目を閉じている為、呼吸をしていないようにさえ見えるのだが、恐らく生きていると思えた。
これはただの感ではあるが、なぜか彼が生きていると思えたのだ。
「ルクル...、お姉ちゃんがいつか絶対に元に戻してあげるからね...」
弟の頰を手に取りながらおでこをくっつける彼女。
彼女の魔力が弟君に供給されているのが分かるが、なぜそんな事をしているのかは理解不能だ。
「何をしているんだ?お前は...」
「私は絶対に弟を元に戻す...、例え私が私じゃ無くなってしまったとしても...」
彼女の魔力が彼に吸収されて行くと、今度は逆に彼の魔力が彼女に移って行く。
「ぐ...ぅぅ...」
凄まじいまでの魔力の逆流に俺は目を疑った。
「おいっ!やめろ!死ぬ気か!?」
思わず敵であるはずのエリサの心配をしてしまう俺。
誰がどう見ても致死量を優に超えるだけの魔力をエリサが受け止めているのだが、なぜか死にはしない彼女。
「大丈夫...、私は死なないから...」
そうは言うものの、呼吸は乱れ汗を垂れ流す姿は、どう見ても大丈夫ではない。
彼女が致死量を上回る魔力をその身の宿すと同時に彼の羽が一つ消えた...。
「後4本...」
それだけ呟くと彼女はその場に倒れ込みぐったりとしていた。
「後4本って...、お前一体何本その羽をとりこんだんだ!?」
倒れる彼女を抱きかかえながら、俺は彼女の容体をしっかりと見る。
どう考えても一本でさえ、1人の人間が取り込める量ではないその羽を受け止めた彼女を気遣ってしまう。
「エリサ!おいっ!返事しろって!」
人の死ぬ時に吹く風は嫌なものだ。
寂しくて悲しい...。
だが、今回はその風が吹いていない。
おかしいと思った俺は彼女の顔に目線を移すと、しっかりと見開いた瞳で俺を睨みつけていた。
「えっ?」
「王国騎士...」
いきなり腹部を蹴られ、3メートルほど吹っ飛ばされ、壁にぶつかった。
「ガハッ!」
背中に激痛を感じながらも、腹部を抑える。
「エリサ...?」
だが今はそんなことよりも豹変した彼女の体に視線を移していた。
「誰...?」
彼女が俺の存在に気がつきこちらに振り向く。
「あなた...か...、ここへ何しに来たの?」
いつもの明るい感じの彼女は今ここに無く、しんみりとした表情で俺にそう告げた。
「ここは何なんだ?」
俺がそう聞くと彼女は返してくれる。
「ここは合成獣誕生の地...、人類初キメラが作られた場所よ」
「ここが?」
「ええ、そしてこの子がその最初の犠牲者...、ルクル...私の弟...」
「何?その子が...か?」
俺は目を疑った。
確かにその白髪の少年は人間ではあるが...。
「その背中に生えてる物...それはまるで...」
「天使の羽...みたいでしょ?」
彼女は不満そうにその翼を見上げる。
少年の姿はまるで童話やおとぎ話にでてくる天使そのまんまのイメージである。
背中から生えた白く綺麗な羽はとても美しいと感じるが...、彼の姉がエリサであると言う証拠はどこにもない。
「嘘だな、お前とそこの少年に共通点があるとでも?」
髪の色や見た目、顔のパーツ。
少年全てがエリサとは程遠く、似てるとは言い難い形状だったのだ。
だが、その言葉を聞いた彼女は殺意のある瞳で俺を睨んで来た。
「ルクルは私の弟...、それだけは真実であり事実、それを疑うというのは万死に値する狼藉と私はみなす...」
ゆっくりと弟から離れ、俺を見つめるその迫力に気圧される俺。
それに...、彼女からは確かに彼に対する兄弟愛のような感情がある事が確かに感じられる。
「本当にそいつがお前の弟なのか...」
俺は何も言えずにただ弟君を眺める。
安らかに眠るように目を閉じている為、呼吸をしていないようにさえ見えるのだが、恐らく生きていると思えた。
これはただの感ではあるが、なぜか彼が生きていると思えたのだ。
「ルクル...、お姉ちゃんがいつか絶対に元に戻してあげるからね...」
弟の頰を手に取りながらおでこをくっつける彼女。
彼女の魔力が弟君に供給されているのが分かるが、なぜそんな事をしているのかは理解不能だ。
「何をしているんだ?お前は...」
「私は絶対に弟を元に戻す...、例え私が私じゃ無くなってしまったとしても...」
彼女の魔力が彼に吸収されて行くと、今度は逆に彼の魔力が彼女に移って行く。
「ぐ...ぅぅ...」
凄まじいまでの魔力の逆流に俺は目を疑った。
「おいっ!やめろ!死ぬ気か!?」
思わず敵であるはずのエリサの心配をしてしまう俺。
誰がどう見ても致死量を優に超えるだけの魔力をエリサが受け止めているのだが、なぜか死にはしない彼女。
「大丈夫...、私は死なないから...」
そうは言うものの、呼吸は乱れ汗を垂れ流す姿は、どう見ても大丈夫ではない。
彼女が致死量を上回る魔力をその身の宿すと同時に彼の羽が一つ消えた...。
「後4本...」
それだけ呟くと彼女はその場に倒れ込みぐったりとしていた。
「後4本って...、お前一体何本その羽をとりこんだんだ!?」
倒れる彼女を抱きかかえながら、俺は彼女の容体をしっかりと見る。
どう考えても一本でさえ、1人の人間が取り込める量ではないその羽を受け止めた彼女を気遣ってしまう。
「エリサ!おいっ!返事しろって!」
人の死ぬ時に吹く風は嫌なものだ。
寂しくて悲しい...。
だが、今回はその風が吹いていない。
おかしいと思った俺は彼女の顔に目線を移すと、しっかりと見開いた瞳で俺を睨みつけていた。
「えっ?」
「王国騎士...」
いきなり腹部を蹴られ、3メートルほど吹っ飛ばされ、壁にぶつかった。
「ガハッ!」
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「エリサ...?」
だが今はそんなことよりも豹変した彼女の体に視線を移していた。
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