なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

文字の大きさ
上 下
262 / 361

合成獣(キメラ)②

しおりを挟む
「やっぱ近くで見るとでかいな~...」

 私は例の化け物を前にして呑気な事を呟いていると、やつは6の腕を巧みに扱い何度も連パンしてくるのですが、どれも私のかすりもしません。

「当たらないよ」

 雷魔法と風魔法で身体強化し、速度を極限まで高めているとは言え、初見の技をこれほどまでに容易く躱し続けれる事に違和感さえ覚える。

(なんだろう...、初めてのはずなのに始めてじゃないような...、そんな感覚...)

 スチャッと剣を抜き奴の体を鮮やかに切り裂く度に響く声が心地いい...。
 徐々に私の体は鮮血に身を汚し、まるで紅い服を着て舞う蝶のようになり果てる。

(ああ...、何でだろう...、悪い奴を倒すのって...楽しい♡)

 ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ...。
 何度か斬りつけるとやつは動かなくなり、最後には声さえ聞けなくなりました。

「終わっちゃった...、じゃあ焼却するね」

 自分でも訳がわからないほど手際よく死体の処理方法が頭に浮かんできます。
 まずは死体をばらばらにして一箇所にまとめ、そのまま火炎魔法で焼き尽くす。
 巨大な火球を投げつけた結果、死体を焼くパチパチという音が聞こえました。
 たったこれだけの行動なのですが、それが迅速に行えてしまった私。

『まるで何度も化け物の死体処理を行ってきたような...』

「えっ...?」

 そこまで考えると、ふと我に帰りました。
 血生臭い化け物の臭いに一回吐く私。

「うぇぇ...」

 自分の手に染まっている血の臭いを嗅いでまた気分を悪くしていると、先程まで隠れていたエレネアが顔を出しました。

「カリン!」

「うぇぇぇ...」

「大丈夫!?カリン!」

 気持ち悪そうにうずくまる私を見て叫ぶ彼女。

「ちょっと待ってて!」

 彼女は近くにある草をちぎって私の体に当てて何やら呪文を唱えました。

「生きとし生ける全ての恵みよ...、御力をお貸しください...、この者に大地のささやかなる祝福を!」

 ただの草だった物が新緑に輝き、私の体を癒していく...。
 最初こそ暴れていた私だったが、徐々に落ち着きを取り戻し、最終的に眠りこけてしまいました。

「カリン?」

「Zzz...」

「寝てるの?」

 彼女が私に近づくと、急に頭の上にいたアアルがこう言いました。

「カリンは今眠っているよ」

「わぁ!?」

「大丈夫?」

「鳥が喋ってる!?」

「このやりとり何回やったかわからないけど...、僕の名前はアアル、カリンの召喚獣さ」

 驚きを隠せないような表情でアアルを見やる彼女でした。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

精霊に転生した少女は周りに溺愛される

紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。 それを見た神様は新たな人生を与える 親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。 果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️ 初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

私はモブのはず

シュミー
恋愛
 私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。   けど  モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。  モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。  私はモブじゃなかったっけ?  R-15は保険です。  ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。 注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

形成級メイクで異世界転生してしまった〜まじか最高!〜

ななこ
ファンタジー
ぱっちり二重、艶やかな唇、薄く色付いた頬、乳白色の肌、細身すぎないプロポーション。 全部努力の賜物だけどほんとの姿じゃない。 神様は勘違いしていたらしい。 形成級ナチュラルメイクのこの顔面が、素の顔だと!! ……ラッキーサイコー!!!  すっぴんが地味系女子だった主人公OL(二十代後半)が、全身形成級の姿が素の姿となった美少女冒険者(16歳)になり異世界を謳歌する話。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

処理中です...