なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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エリサとカリン...

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「見つけた!」

 私は全速力で町を駆け巡り彼女を発見しました。

「エリサ!」

 私は彼女の名前を呼びます。

「カリン!」

 彼女も声を返してきました。
 教会の裏側、綺麗な川が流れる場所で彼女を見つけたのです。
 私は恐る恐る彼女に聞いて見ました。

「ねぇ、エリサ、お兄ちゃんから聞いたんだけど...、エリサが輪廻教徒だなんて嘘だよね?」

「...、本当だよ」

 思いもしない答えに私は戸惑いました。

「でもっ、王国祭の時私と一緒に遊んでくれたよね?」

「ええ、あの時はね、でも今は違う...、あなたは賢聖の娘カリン、私は輪廻教徒我欲の翼『遊戯欲』エリサ、二人は一緒にいてはならない存在なの」

「我欲の翼...?、一緒にいてはならないって...、そんな事言われても意味わかんないよ!」

 私は叫び声をあげながら彼女に問いかける。

「じゃあなんであの時は一緒に遊んでくれたの!?」

「あの時はあなたが無知だと思って近寄って見ただけ、本当なら利用するだけ利用してさようならするつもりだった」

「だった...?」

 なんで過去系なのかわからないでいると、突然手を差し伸べてくる彼女。

「カリン、私たちと一緒に来ない?、あなたには私たちと一緒に来る権利がある」

「権利...?」

「あなたからは魔女様と同じ匂いがするの、それがなんでなのかは私にも分からないけど、とにかくあなたは私たち輪廻教徒の中にいる誰よりも魔女様に一番近しい存在なの、だから私は願う、私たちと一緒に来ないか?...とね」

 突然輪廻教徒に勧誘される私でしたが、それはできません。

「輪廻教徒って悪い人達なんだよね...、母さんから聞いてるし、王国に住む皆からもいい噂は聞かないよ...、だからごめん...、私はエリサの言うことには従えない」

「交渉決裂ね...、残念...」

 本当に残念そうな表情を浮かべる彼女を私は辛い気分で見る。

「何その表情...、カリン?」

「エリサ...、たとえ敵同士になったとしても、私たちは友達だよね?」

 私が漏らしたその言葉に彼女は目を丸くしていました。
 その後ぷっと笑い出し、挙げ句の果てには腹を抱えて高らかな笑い声上げる彼女。

「あはは!そんな事言うなんて、やっぱり面白い子だねカリンは」

「なっ!、人が心配してるのにその態度はないでしょ!」

 いつもの調子を取り戻した彼女を見て安心感を得る私。

「いやごめんって、...全くカリンといると私は心のそこから笑える、まるであなたと一緒にいることが私最高の遊びに感じてしまうほどにね」

「それってどう言う意味?」

「言ったままの意味だよ、私にとってカリンと一緒にいる事は、それだけで価値のある有意義な時間だって事!」

 それを聞いた時、私は笑みを浮かべました。

「私だって、エリサと一緒にいるの楽しいよ!、エリサってすごい魔法使えるし、ただ側にいるだけでも面白いもん!」

「言ったな~...カリン!」

 突然抱きついてきてじゃれる彼女を、私は笑いながら受け止める。

「言ったよ...、エリサ!」

 私たちはあははと笑いながら互いの進むべき道を尊重しあった。
 私は賢聖の娘として生きる道、彼女は輪廻教徒のエリサとして生きる道を選んだのだ。
 例えどのような結果になってしまったとしても、私には後悔はない。
 夕日が暮れるまで遊んだ私たちにお別れの時間がやってきました。

「もう...終わっちゃうね...エリサ」

「そうだね...カリン」

 お互いに寂しく思いながらも、最後はただ背を向けあう私たち。

「元気でね、エリサ」

「そっちこそ、風邪引くなよカリン」

 最後の一言を最後にまっすぐ歩き出す。
 決して振り返らない、今振り返れば悲しくなるから...。
 もうきっと私と彼女が共に遊べる日は永遠に来ないであろうという現実に涙を流しながら、私は家に帰るのでした。
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