250 / 361
嘘だ!
しおりを挟む
「兄ちゃん...」
その場に残された私達はそう呟くカリンの方を見ていました。
「カリン...、お前は騙されているんんだ」
「嘘だ!、私はエリサと王国祭で遊んだ!、その時の彼女は悪い子じゃなかったよ?、なんで二人してエリサを悪者扱いするの?」
真剣な表情で私と兄の目を見る瞳には一点の曇りもない。
だからこそ、そこをつけ狙われてしまったのだろう。
今の彼女はエリサという人物の事を信じ切ってしまっているのだ。
「カリン...、あの子は...」
「聞きたくない!」
つっぱねられてしまった。
さらに指を突きつけられ、こう叫ばれてしまう。
「だいたい、先に手を出したのはエルシーさんじゃん!、私は見てたんだよ...!、お兄ちゃんを探してたら偶然その現場を....!」
「ぐう...ぜん...?」
この広いクティル王国でたまたま偶然?。
何か引っかかる。
「カリン...、なぜローシュがこの辺りにいるって判断したんだ?」
それこそが重要だと思う私。
いや...まさか...という可能性が出てきたのだ。
クティル王国内部に裏切り者、あるいは内通者の様な者がいるかも知れないと...。
だいたい、今日私が彼と会うことを知っているような素振りを彼女が見せないことから、ローシュが今日私と会う事を話していたとは考え辛い。
「それは...」
ゴクリと息を飲む私。
「なんとなく、ここにいるかもって思って歩いてただけ!」
その答えにズコ~っと滑り落ちる私。
「本当にそれだけ...?」
「本当」
「...」
「...」
お互いに硬直してしまい、会話が進まないでいると、ローシュが突破口を開いてくれた。
「聞いてくれカリン、あの子エリサは輪廻教徒なんだ」
「え?」
キョトンとしたような表情を浮かべる彼女の瞳には疑惑の念が込められていた。
「...、お兄ちゃんも嘘をつくの?」
「カリン!お願いだから聞いてくれ!、これは疑いようのない事実なんだ!」
兄にそう言われてショックだったのか唇を噛みしめる彼女。
「お兄ちゃんもエリサを悪者扱いするんだね...、もういいよ、私が自分で確かめるから...」
「おいっ!カリン!どこに行く気だ!」
突然走り出すカリンを制止するローシュだったが、彼女はするりと兄の手をすり抜け走り去る彼女。
この時の彼の表情を私は恐らく一生忘れられないでしょう。
妹を思う兄の瞳。
それは何物よりも儚く美しい...。
(カリンあなたは...、どっちに着く気なの...?)
何故かは分かりませんが、この時の私は『カリン』という少女に不穏な気配を感じていました。
その場に残された私達はそう呟くカリンの方を見ていました。
「カリン...、お前は騙されているんんだ」
「嘘だ!、私はエリサと王国祭で遊んだ!、その時の彼女は悪い子じゃなかったよ?、なんで二人してエリサを悪者扱いするの?」
真剣な表情で私と兄の目を見る瞳には一点の曇りもない。
だからこそ、そこをつけ狙われてしまったのだろう。
今の彼女はエリサという人物の事を信じ切ってしまっているのだ。
「カリン...、あの子は...」
「聞きたくない!」
つっぱねられてしまった。
さらに指を突きつけられ、こう叫ばれてしまう。
「だいたい、先に手を出したのはエルシーさんじゃん!、私は見てたんだよ...!、お兄ちゃんを探してたら偶然その現場を....!」
「ぐう...ぜん...?」
この広いクティル王国でたまたま偶然?。
何か引っかかる。
「カリン...、なぜローシュがこの辺りにいるって判断したんだ?」
それこそが重要だと思う私。
いや...まさか...という可能性が出てきたのだ。
クティル王国内部に裏切り者、あるいは内通者の様な者がいるかも知れないと...。
だいたい、今日私が彼と会うことを知っているような素振りを彼女が見せないことから、ローシュが今日私と会う事を話していたとは考え辛い。
「それは...」
ゴクリと息を飲む私。
「なんとなく、ここにいるかもって思って歩いてただけ!」
その答えにズコ~っと滑り落ちる私。
「本当にそれだけ...?」
「本当」
「...」
「...」
お互いに硬直してしまい、会話が進まないでいると、ローシュが突破口を開いてくれた。
「聞いてくれカリン、あの子エリサは輪廻教徒なんだ」
「え?」
キョトンとしたような表情を浮かべる彼女の瞳には疑惑の念が込められていた。
「...、お兄ちゃんも嘘をつくの?」
「カリン!お願いだから聞いてくれ!、これは疑いようのない事実なんだ!」
兄にそう言われてショックだったのか唇を噛みしめる彼女。
「お兄ちゃんもエリサを悪者扱いするんだね...、もういいよ、私が自分で確かめるから...」
「おいっ!カリン!どこに行く気だ!」
突然走り出すカリンを制止するローシュだったが、彼女はするりと兄の手をすり抜け走り去る彼女。
この時の彼の表情を私は恐らく一生忘れられないでしょう。
妹を思う兄の瞳。
それは何物よりも儚く美しい...。
(カリンあなたは...、どっちに着く気なの...?)
何故かは分かりませんが、この時の私は『カリン』という少女に不穏な気配を感じていました。
0
お気に入りに追加
230
あなたにおすすめの小説

ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。

精霊に転生した少女は周りに溺愛される
紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。
それを見た神様は新たな人生を与える
親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。
果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️
初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

私はモブのはず
シュミー
恋愛
私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。
けど
モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。
モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。
私はモブじゃなかったっけ?
R-15は保険です。
ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。
注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。

転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

形成級メイクで異世界転生してしまった〜まじか最高!〜
ななこ
ファンタジー
ぱっちり二重、艶やかな唇、薄く色付いた頬、乳白色の肌、細身すぎないプロポーション。
全部努力の賜物だけどほんとの姿じゃない。
神様は勘違いしていたらしい。
形成級ナチュラルメイクのこの顔面が、素の顔だと!!
……ラッキーサイコー!!!
すっぴんが地味系女子だった主人公OL(二十代後半)が、全身形成級の姿が素の姿となった美少女冒険者(16歳)になり異世界を謳歌する話。


このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる