なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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嘘だ!

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「兄ちゃん...」

 その場に残された私達はそう呟くカリンの方を見ていました。

「カリン...、お前は騙されているんんだ」

「嘘だ!、私はエリサと王国祭で遊んだ!、その時の彼女は悪い子じゃなかったよ?、なんで二人してエリサを悪者扱いするの?」

 真剣な表情で私と兄の目を見る瞳には一点の曇りもない。
 だからこそ、そこをつけ狙われてしまったのだろう。
 今の彼女はエリサという人物の事を信じ切ってしまっているのだ。

「カリン...、あの子は...」

「聞きたくない!」

 つっぱねられてしまった。
 さらに指を突きつけられ、こう叫ばれてしまう。

「だいたい、先に手を出したのはエルシーさんじゃん!、私は見てたんだよ...!、お兄ちゃんを探してたら偶然その現場を....!」

「ぐう...ぜん...?」

 この広いクティル王国でたまたま偶然?。
 何か引っかかる。

「カリン...、なぜローシュがこの辺りにいるって判断したんだ?」

 それこそが重要だと思う私。
 いや...まさか...という可能性が出てきたのだ。
 クティル王国内部に裏切り者、あるいは内通者の様な者がいるかも知れないと...。
 だいたい、今日私が彼と会うことを知っているような素振りを彼女が見せないことから、ローシュが今日私と会う事を話していたとは考え辛い。

「それは...」

 ゴクリと息を飲む私。

「なんとなく、ここにいるかもって思って歩いてただけ!」

 その答えにズコ~っと滑り落ちる私。

「本当にそれだけ...?」

「本当」

「...」

「...」

 お互いに硬直してしまい、会話が進まないでいると、ローシュが突破口を開いてくれた。

「聞いてくれカリン、あの子エリサは輪廻教徒なんだ」

「え?」

 キョトンとしたような表情を浮かべる彼女の瞳には疑惑の念が込められていた。

「...、お兄ちゃんも嘘をつくの?」

「カリン!お願いだから聞いてくれ!、これは疑いようのない事実なんだ!」

 兄にそう言われてショックだったのか唇を噛みしめる彼女。

「お兄ちゃんもエリサを悪者扱いするんだね...、もういいよ、私が自分で確かめるから...」

「おいっ!カリン!どこに行く気だ!」

 突然走り出すカリンを制止するローシュだったが、彼女はするりと兄の手をすり抜け走り去る彼女。
 この時の彼の表情を私は恐らく一生忘れられないでしょう。
 妹を思う兄の瞳。
 それは何物よりも儚く美しい...。

(カリンあなたは...、どっちに着く気なの...?)

 何故かは分かりませんが、この時の私は『カリン』という少女に不穏な気配を感じていました。

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