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エルシーVSエリサ②
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心臓の鼓動が高鳴る。
強者を前にした時、私の体温は限りなく上昇し熱くなるのだが、何故かいつも頭の中だけは氷のように冷ややかだった。
それが何故なのかはわからない。
ただ私がいつも思っていることがある。
それは...。
(最悪の場合逃げる!)
ある程度戦って勝てないと判断すれば逃げる。
逃げるにしてもある程度の実力がいる物なのだ。
逃げる力と戦う力のどちらにリソースを割くべきか考えながら戦うのが私のポリシーなのである。
今は勝てなくてもいつかは勝てるかも知れない。
ただそれは自分が生きていればの話である。
今戦って死ねば何も残らない。
だから私はいつも考える。
あとどれくらい魔力が持つか、残りの武装は充分か?。
これは戦闘において特に重要な要素である。
ジリジリと詰め寄る私とエリサ...。
嫌な汗が額を流れ落ちた瞬間!、彼女が動きを見せた。
体に電流を走らせて高速で移動してきたのだ!。
(速い!!)
感覚だけで短剣を攻撃のモーションに合わせて防いだのだが、刃同士がぶつかった瞬間全身に電気が流れた。
痛いなんて物ではない!、戦闘不能になり得るほどの威力が全身を駆け抜け地面に吸われて行く。
「勝負ありだね、やっぱり私の方が強いじゃん!」
ふふんと笑う彼女は小太刀を回しながら挑発してくるのが悔しい。
まだ動ける...。
指は?動く...、足は?動く...。
どの部位が動くのか一瞬で判断し槍を杖代わりにして立ち上がる私。
(これじゃあどちらにせよ逃げられない...、だったら!)
息を荒げながら彼女を睨む。
「お~怖っ!、でもその程度じゃあ私は倒せないよ」
立ち上がるのはやっとで反撃には出られそうもないが、後一回くらいなら武器を振れそうではある。
なので呼吸を整え集中する。
(チャンスは一回、これを外せば武器を振る力も完全に無くなる...)
緊張感で吐きそうになるのを無理矢理に飲み込み。
(しっかり!、私は冒険者エルシー!、このくらいのピンチは何度も切り抜けてきたでしょ!)
これまでの経験から最善の手を考える。
その結果。
「どういうつもり?、短剣でも槍でもなく、最後に選んだのがただの長剣?」
私自身意外だった。
彼女の攻撃に対する回答がこの長剣だったのである。
「どういうつもりか知らないけど、死にたいならこれで終わらせるよ...」
彼女の瞳が本気の目に変わった。
来る!。
恐らく次が最速の一撃なのだろう。
「こいっ...!」
ザッと地を蹴る音と共に彼女が接近して来た。
(チャンスは一回!)
私は剣を彼女の雷が走る小太刀に当てる。
「!?、馬鹿なの!?死ぬよ!」
彼女にもそう言われたがもう止められない。
私の刃が当たる瞬間に私は自分の剣の半分を風の魔法で折った。
「えっ!?」
驚きの表情を浮かべる彼女。
「相打ちさ..!」
私は折った部分のお陰で刃を合わせずに済んだ上、彼女の腹部を私の半折れの剣が捉えたと同時に私の体に彼女の電撃がまともに当たる。
短剣では長さが足りず、槍では振りが遅い。
たまたま長剣というアイディアが生まれたのには、最近ローシュと関係を持った事が関係していないとは思えにくいとも思う。
それと、これまで長い間冒険者として蓄積した経験が合わさり、こんな危険極まりない戦法を編み出したのであった。
「ぐっ!?」
「うあぁぁぁ!!!」
お互いに倒れ伏した私とエリサ。
後は根性勝負。
どっちが先に立ち上がるかだけの根比べである。
...なかなか立ち上がれない。
当たり前だ。
あんな高出力の電撃をまともに受けたのだから、いまだこうして息をしているだけでも奇跡なのである。
呻き声を上げながら無理やり体を動かす。
(立て...、ここで奴の息の根を止める事が出来れば大きい...!)
腹部から血が流れ落ちている分、私の方が有利だと思えるが油断は禁物だ。
(早く...痺れが取れて...)
全身に電流が回り体が動かない。
だが、奴は...。
(嘘でしょ...、立ち上がった..!?)
息を切らしながら立ち上がる彼女。
「やるねエルシー...、でも私の勝ちだよ...」
そう呟きながら小太刀を片手に近づいて来る彼女。
(不味い...)
未だに体は動かない。
終わりだ...。
私は目を瞑り最期の時を待つのだった。
強者を前にした時、私の体温は限りなく上昇し熱くなるのだが、何故かいつも頭の中だけは氷のように冷ややかだった。
それが何故なのかはわからない。
ただ私がいつも思っていることがある。
それは...。
(最悪の場合逃げる!)
ある程度戦って勝てないと判断すれば逃げる。
逃げるにしてもある程度の実力がいる物なのだ。
逃げる力と戦う力のどちらにリソースを割くべきか考えながら戦うのが私のポリシーなのである。
今は勝てなくてもいつかは勝てるかも知れない。
ただそれは自分が生きていればの話である。
今戦って死ねば何も残らない。
だから私はいつも考える。
あとどれくらい魔力が持つか、残りの武装は充分か?。
これは戦闘において特に重要な要素である。
ジリジリと詰め寄る私とエリサ...。
嫌な汗が額を流れ落ちた瞬間!、彼女が動きを見せた。
体に電流を走らせて高速で移動してきたのだ!。
(速い!!)
感覚だけで短剣を攻撃のモーションに合わせて防いだのだが、刃同士がぶつかった瞬間全身に電気が流れた。
痛いなんて物ではない!、戦闘不能になり得るほどの威力が全身を駆け抜け地面に吸われて行く。
「勝負ありだね、やっぱり私の方が強いじゃん!」
ふふんと笑う彼女は小太刀を回しながら挑発してくるのが悔しい。
まだ動ける...。
指は?動く...、足は?動く...。
どの部位が動くのか一瞬で判断し槍を杖代わりにして立ち上がる私。
(これじゃあどちらにせよ逃げられない...、だったら!)
息を荒げながら彼女を睨む。
「お~怖っ!、でもその程度じゃあ私は倒せないよ」
立ち上がるのはやっとで反撃には出られそうもないが、後一回くらいなら武器を振れそうではある。
なので呼吸を整え集中する。
(チャンスは一回、これを外せば武器を振る力も完全に無くなる...)
緊張感で吐きそうになるのを無理矢理に飲み込み。
(しっかり!、私は冒険者エルシー!、このくらいのピンチは何度も切り抜けてきたでしょ!)
これまでの経験から最善の手を考える。
その結果。
「どういうつもり?、短剣でも槍でもなく、最後に選んだのがただの長剣?」
私自身意外だった。
彼女の攻撃に対する回答がこの長剣だったのである。
「どういうつもりか知らないけど、死にたいならこれで終わらせるよ...」
彼女の瞳が本気の目に変わった。
来る!。
恐らく次が最速の一撃なのだろう。
「こいっ...!」
ザッと地を蹴る音と共に彼女が接近して来た。
(チャンスは一回!)
私は剣を彼女の雷が走る小太刀に当てる。
「!?、馬鹿なの!?死ぬよ!」
彼女にもそう言われたがもう止められない。
私の刃が当たる瞬間に私は自分の剣の半分を風の魔法で折った。
「えっ!?」
驚きの表情を浮かべる彼女。
「相打ちさ..!」
私は折った部分のお陰で刃を合わせずに済んだ上、彼女の腹部を私の半折れの剣が捉えたと同時に私の体に彼女の電撃がまともに当たる。
短剣では長さが足りず、槍では振りが遅い。
たまたま長剣というアイディアが生まれたのには、最近ローシュと関係を持った事が関係していないとは思えにくいとも思う。
それと、これまで長い間冒険者として蓄積した経験が合わさり、こんな危険極まりない戦法を編み出したのであった。
「ぐっ!?」
「うあぁぁぁ!!!」
お互いに倒れ伏した私とエリサ。
後は根性勝負。
どっちが先に立ち上がるかだけの根比べである。
...なかなか立ち上がれない。
当たり前だ。
あんな高出力の電撃をまともに受けたのだから、いまだこうして息をしているだけでも奇跡なのである。
呻き声を上げながら無理やり体を動かす。
(立て...、ここで奴の息の根を止める事が出来れば大きい...!)
腹部から血が流れ落ちている分、私の方が有利だと思えるが油断は禁物だ。
(早く...痺れが取れて...)
全身に電流が回り体が動かない。
だが、奴は...。
(嘘でしょ...、立ち上がった..!?)
息を切らしながら立ち上がる彼女。
「やるねエルシー...、でも私の勝ちだよ...」
そう呟きながら小太刀を片手に近づいて来る彼女。
(不味い...)
未だに体は動かない。
終わりだ...。
私は目を瞑り最期の時を待つのだった。
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