なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

文字の大きさ
上 下
241 / 361

輪廻教『我欲の翼』

しおりを挟む
「たっだいま~!」

「エリサ!どこに行ってたのですか!?」

「ごめんごめんミライ!、ちょっと面白い子を拾っちゃって」

 そう言って彼女は私を前に突き出した。

「誰?この子...」

「剣聖の息子に振られて心が折れちゃった人だよ、それよりもこの子から発せられてるこの瘴気感じるでしょ?...、この子はきっと...」

 それを聞いた時、ミライと呼ばれた女性はニヤリと笑ったような気がする。

「ああ...聖人に思いを踏みにじられた哀れな子羊よ...、我らが魔女様が貴女をお救いくださるでしょう...、祈りなさい...、心の奥底から...」

 私の凍え切った手を握りしめてそう諭す彼女。

(魔女様...?)

 思い返すだけで発作を起こしそうになる程の恐怖を王国全体に与えた張本人に祈れというのかこの女性は...。
 そう思いながら、他に頼れる人も居なかった私は祈りました。

(悠久の魔女様...私にお救いを与えください...)

 ただ祈る。
 無意味だと分かっていても私は祈るしか無かった。
 もう私がローシュと結ばれる事は一生かけても叶わぬ夢となっているのに、私の支配欲はずっと腹から出てきそうなほど煮えくり返っている。

(私から彼を奪う人は...誰?)

 まだ私にはその人の名前も姿も知り得ない事なのですが、何故かその者に対する怒りのような負の感情がどんどん私の中で膨らんでいくのを感じる...!。

(憎い...、誰が?私からあの人を奪う人物が!)

 それが再び私を立ち上がらせる動機となった。
 そのドス黒い瘴気の様な物が渦巻き、私の中に何かが入ってくる様な感覚を得た。

「私は...彼を奪う者全てを許さない...!」

 さっきまで死人の様な瞳をしていた私はもう居ません。
 今ここに居るのは...!。

「輪廻教徒が1人...、支配欲のメルラ...」

 それを聞いた紫髪の彼女は笑う。

「そうですか...、貴女は魔女様から“支配欲”の欲求を与えられたのですね...」

 バッとローブを羽ばたかせ高らかに宣言する彼女。

「ようこそ我ら『我欲の翼』へ...、歓迎しますわ、支配欲のメルラさん...」

 ああ...、何となく分かってしまいました...。
 私は元より、光に属するものでは無かったという事に...。
 彼の存在する場所にいた時にはずっと心が締め付けられるような痛みが走っていたのに対し、この場所の居心地が凄く良い様に感じられます。
 魔女の福音を受けた私は今、生き返ったかのような活力を全身に宿しています。

「これからよろしくね、ミライにエリサ...」

 ドス黒い笑みを浮かべる私に対し、彼女達はふふっと笑うだけでした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

精霊に転生した少女は周りに溺愛される

紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。 それを見た神様は新たな人生を与える 親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。 果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️ 初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

私はモブのはず

シュミー
恋愛
 私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。   けど  モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。  モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。  私はモブじゃなかったっけ?  R-15は保険です。  ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。 注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

形成級メイクで異世界転生してしまった〜まじか最高!〜

ななこ
ファンタジー
ぱっちり二重、艶やかな唇、薄く色付いた頬、乳白色の肌、細身すぎないプロポーション。 全部努力の賜物だけどほんとの姿じゃない。 神様は勘違いしていたらしい。 形成級ナチュラルメイクのこの顔面が、素の顔だと!! ……ラッキーサイコー!!!  すっぴんが地味系女子だった主人公OL(二十代後半)が、全身形成級の姿が素の姿となった美少女冒険者(16歳)になり異世界を謳歌する話。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

処理中です...