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エルシー...
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「っで...、年初めに何の用?」
「ああ...」
「ああ...、だけじゃわからないんだけど...」
俺はあの後エルシーを探し当て、小洒落たレストランに足を運んでいた。
ちょっと値の貼る店で良い料理を注文した時、彼女の瞳が変わったようなきがする。
なんだか俺の事を疑うような目つきで見てくるのが痛い...。
「ちょっとな、最近カリンの奴に歌を教えてくれてるお礼だ」
そう俺が呟くと、さっきまでの嫌な空気が無くなっていた。
「な~んだ、そういう事なら早く言えって、以前こういう店に連れられた時の嫌な思い出があったからちょっと警戒してた」
(警戒?)
まあ彼女も冒険者として長いのでしょう。
そこにはあまり足を踏み入れないようにするつもりだ。
過去に何があったかは知らないが、俺は目の前にいるエルシーという女性に憧れと尊敬を抱いている。
冒険者という職業は正直言ってあまりいい仕事とは言えない。
依頼を受けて報酬を貰う以上、様々な事に精通し技量を高めなくてはならないのである。
ただ剣が使えるだとか、魔法がちょっと得意なだけで冒険者になった者は確実に痛い目を見る。
その点、彼女は踊りという唯一無二の特技を持っているため強い。
依頼がない時でも踊りで客を楽しませて稼ぐことができる。
踊りがこれほどまでに上手な人はクティル王国広しと言えど彼女だけだろう。
俺が彼女に魅了されている理由はそれだけでも充分である。
危険で危ない冒険者という職業で何年も食いつないだ彼女こそ、俺の伴侶に相応しいと思えてならいのだが、流石にほぼ初対面で「付き合ってくれ!」なんて言えるわけがないので少しずつ距離を縮めていこうと思いカリンの名前を出したのだった。
お互いにちょっと高いコース料理を堪能しながら妹を話題に話をして行く。
「クティル王国祭の舞台見てたよ、エルシーは踊りが本当に上手いんだな!、それに妹にあそこまで上手な歌を教えるなんて、指導者としても才能あるんじゃないか?」
俺は彼女をべた褒めします。
とりあえず褒められるのが嫌いな人種など存在しないので、これは成功方だと思えます。
「ふふっ、ありがとう、でもカリンの歌が上手いのは元からよ、私はただあの子の歌声を聞いてお金になるなって思っただけ」
「?、あれっ?エルシーがカリンに教えたんじゃないのか?」
「ええ...、なんでそんなに驚く必要があるのかしら?」
「嫌だって...、昔のカリンは歌が下手だったはずだぞ?」
「そんなはずはないわ、現に私がここに来てから彼女に歌のレッスンをつけたことなんて一度もないわよ?」
俺はそれを聞いて首を傾げる。
(あれっ?、カリンはたしかに歌が下手だったような...、エルシーが来るずっと前にカリン歌声を聴いた時、正直言って人前で歌えるレベルじゃなかったような...)
身内からすればそれでも充分可愛いですけど、やっぱり金儲けをするって考えるのであれば、以前の妹は力不足であると言えるでしょう。
(その妹が何もしないであのレベルの歌唱力を得たってなんだかおかしくないか?)
う~んと考える俺でしたが、特にどうやって妹の歌唱力が上がったのか見当もつきません。
(だいたいうちの家系は音痴ばっかりだったからな~、親父も母さんも本当に歌は下手だからな...)
かく言う自分も歌が上手いとはお世辞にも言えません。
謎が深まってしまいましたが、今は彼女と妹の話題で楽しむ事にしました。
「ああ...」
「ああ...、だけじゃわからないんだけど...」
俺はあの後エルシーを探し当て、小洒落たレストランに足を運んでいた。
ちょっと値の貼る店で良い料理を注文した時、彼女の瞳が変わったようなきがする。
なんだか俺の事を疑うような目つきで見てくるのが痛い...。
「ちょっとな、最近カリンの奴に歌を教えてくれてるお礼だ」
そう俺が呟くと、さっきまでの嫌な空気が無くなっていた。
「な~んだ、そういう事なら早く言えって、以前こういう店に連れられた時の嫌な思い出があったからちょっと警戒してた」
(警戒?)
まあ彼女も冒険者として長いのでしょう。
そこにはあまり足を踏み入れないようにするつもりだ。
過去に何があったかは知らないが、俺は目の前にいるエルシーという女性に憧れと尊敬を抱いている。
冒険者という職業は正直言ってあまりいい仕事とは言えない。
依頼を受けて報酬を貰う以上、様々な事に精通し技量を高めなくてはならないのである。
ただ剣が使えるだとか、魔法がちょっと得意なだけで冒険者になった者は確実に痛い目を見る。
その点、彼女は踊りという唯一無二の特技を持っているため強い。
依頼がない時でも踊りで客を楽しませて稼ぐことができる。
踊りがこれほどまでに上手な人はクティル王国広しと言えど彼女だけだろう。
俺が彼女に魅了されている理由はそれだけでも充分である。
危険で危ない冒険者という職業で何年も食いつないだ彼女こそ、俺の伴侶に相応しいと思えてならいのだが、流石にほぼ初対面で「付き合ってくれ!」なんて言えるわけがないので少しずつ距離を縮めていこうと思いカリンの名前を出したのだった。
お互いにちょっと高いコース料理を堪能しながら妹を話題に話をして行く。
「クティル王国祭の舞台見てたよ、エルシーは踊りが本当に上手いんだな!、それに妹にあそこまで上手な歌を教えるなんて、指導者としても才能あるんじゃないか?」
俺は彼女をべた褒めします。
とりあえず褒められるのが嫌いな人種など存在しないので、これは成功方だと思えます。
「ふふっ、ありがとう、でもカリンの歌が上手いのは元からよ、私はただあの子の歌声を聞いてお金になるなって思っただけ」
「?、あれっ?エルシーがカリンに教えたんじゃないのか?」
「ええ...、なんでそんなに驚く必要があるのかしら?」
「嫌だって...、昔のカリンは歌が下手だったはずだぞ?」
「そんなはずはないわ、現に私がここに来てから彼女に歌のレッスンをつけたことなんて一度もないわよ?」
俺はそれを聞いて首を傾げる。
(あれっ?、カリンはたしかに歌が下手だったような...、エルシーが来るずっと前にカリン歌声を聴いた時、正直言って人前で歌えるレベルじゃなかったような...)
身内からすればそれでも充分可愛いですけど、やっぱり金儲けをするって考えるのであれば、以前の妹は力不足であると言えるでしょう。
(その妹が何もしないであのレベルの歌唱力を得たってなんだかおかしくないか?)
う~んと考える俺でしたが、特にどうやって妹の歌唱力が上がったのか見当もつきません。
(だいたいうちの家系は音痴ばっかりだったからな~、親父も母さんも本当に歌は下手だからな...)
かく言う自分も歌が上手いとはお世辞にも言えません。
謎が深まってしまいましたが、今は彼女と妹の話題で楽しむ事にしました。
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