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明日と明後日は空けといて
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「カリン、明日と明後日は空けておいてね」
「えっ?」
朝食を食べながら母さんにそう言われた私は橋が止まってしまいました。
「何かあるの?」
「実は...、お城の警固があるから明日は家族総出で王様達を守る仕事に就くことになっちゃったのよ」
「何で私も?」
「それは、パニラ様の話相手をしてあげてほしいからよ、私達みたいな年上しか周りにいないのだと、あの子も暇するでしょう?、年も近しいカリンちゃんがパニラ様直々の護衛という建前で護衛に当たって頂戴ね!」
「そんな勝手な...」
私はそう呟いたのですが、その様子を見た兄は笑っていました。
「いいじゃないかカリン!、パニラ様とお前は同い年だし、積もる話もあるだろ?」
「もう...お兄ちゃんまで...」
私は頰を膨らませながらムスッとしてしまいました。
(どうせだったらもうちょっと早く言っておいて欲しかったな...、でもまあ別に用もないしいっか...)
そう思いながら食事を終えて町に出ました。
今日が実質的に最終日だと思った私は何をしようか考えていると、目の前から見覚えのある姿が迫ってきました。
「あれっ?、リタじゃん!どうしたのこんなところで」
「えっ!?カリンちゃん!?」
「これはこれはカリン様、それにアアル殿も」
彼女の抱きかかえている人形が喋ったのでクミなのだろうが、以前と姿が変わっていた。
「あれっ?喋ってるってことはクミだよねそれ...、何でサメの人形になっているの?」
そうサメの人形になっていたのだ。
理由を聞くと彼女はこう答えた。
「実は、クミはあくまでも人形の精霊であってクマの人形ではないんだ、つまり人形であればどんな物にもなれるんだ」
まじまじとリタの表情を見ているが嘘には見えない。
というかリタは嘘をつくような子ではない事を私はよく知っている。
彼女は「そうだ!」というと自分のアイテム欄から鳥の人形を取り出して何やらブツブツ呟いた。
すると鳥の人形が動き出してサメの方はぐったりと倒れる。
「クミっ、返事して」
「はいリタ殿、ちゃんと成功いたしましたぞ」
「おお~!!すごい!」
さっきまで黙っていたアアルが羽で拍手をしていた。
確かにこれは凄い。
精霊というのはこういう能力もあるんだなと実感したところで疑問が思い浮かんだ。
「アアルはこういうことできるの?」
彼は首を横に振った。
「できるわけないよ、僕は聖鳥っていう種族だからね、魂そのものを別の物体に入れる能力なんて持ってないし、人間と同じで寿命もある、でも多分クミに寿命はないんだよね?」
「よくわかりましたな、確かに私に寿命はありません、強いて言えばこの世から人形が無くなれば相対的に死ぬとでも言いましょうか、まあそれもリタ殿がいてくれる間は問題はありませんが」
彼がそう呟いた瞬間、リタの瞳が光輝いていた。
「大丈夫!クミは絶対に死なせない!、私が大人になったら一杯人形を作ってこの町の子供達にあげるんだ、そうすればクミはずっとここにいられるよね!」
眩しいくらいの笑顔を向けた彼女の表情を見た人形は両羽を上に上げて喜んでいる。
「リタ殿!!、それでこそ私を呼び出した主人だと言えるでしょう!、私は一生をかけてでもあなた様を守る精霊として呼び出された事を誇りに思います」
そう言ってお辞儀をする彼の姿はどこか愛らしく、思わず和んでしまった。
「そうだ!、今ちょうどアアルもいるし二人並んで!」
「何をするの?カリン」
「いいから二人とも私の言う通りにして」
私がそう言うと彼らは肩翼を広げてアーチのような物を作った。
「ほらっ、仲よさそうに見えない?」
「あっ本当だ!、なんか楽しそうに見える!」
「何それ...、僕はよくわかんないんだけど...」
「ホッホッ、アアル殿、こういうのは気分という物ですぞ」
アアルがよく分かっていない様子だったので、自分達が実際に見せて見ることにした。
「リタちゃん!手を出して!」
「えっ!?」
驚きながらも片手を出してくれたので、その手を握り上に上げて♡を作って見せた。
それを見たアアルは頷いてこう呟いた。
「なるほど...、確かに楽しそうに見える!」
「ふふっ、でしょ!」
「カリンちゃん!ちょっと恥ずかしいよ!」
「良い友人を持って我がリタ殿も幸せですな~」
「ちょっとクミ!」
私たちの笑い声が上がる町は、なんだかいつもより明るく感じられました。
「えっ?」
朝食を食べながら母さんにそう言われた私は橋が止まってしまいました。
「何かあるの?」
「実は...、お城の警固があるから明日は家族総出で王様達を守る仕事に就くことになっちゃったのよ」
「何で私も?」
「それは、パニラ様の話相手をしてあげてほしいからよ、私達みたいな年上しか周りにいないのだと、あの子も暇するでしょう?、年も近しいカリンちゃんがパニラ様直々の護衛という建前で護衛に当たって頂戴ね!」
「そんな勝手な...」
私はそう呟いたのですが、その様子を見た兄は笑っていました。
「いいじゃないかカリン!、パニラ様とお前は同い年だし、積もる話もあるだろ?」
「もう...お兄ちゃんまで...」
私は頰を膨らませながらムスッとしてしまいました。
(どうせだったらもうちょっと早く言っておいて欲しかったな...、でもまあ別に用もないしいっか...)
そう思いながら食事を終えて町に出ました。
今日が実質的に最終日だと思った私は何をしようか考えていると、目の前から見覚えのある姿が迫ってきました。
「あれっ?、リタじゃん!どうしたのこんなところで」
「えっ!?カリンちゃん!?」
「これはこれはカリン様、それにアアル殿も」
彼女の抱きかかえている人形が喋ったのでクミなのだろうが、以前と姿が変わっていた。
「あれっ?喋ってるってことはクミだよねそれ...、何でサメの人形になっているの?」
そうサメの人形になっていたのだ。
理由を聞くと彼女はこう答えた。
「実は、クミはあくまでも人形の精霊であってクマの人形ではないんだ、つまり人形であればどんな物にもなれるんだ」
まじまじとリタの表情を見ているが嘘には見えない。
というかリタは嘘をつくような子ではない事を私はよく知っている。
彼女は「そうだ!」というと自分のアイテム欄から鳥の人形を取り出して何やらブツブツ呟いた。
すると鳥の人形が動き出してサメの方はぐったりと倒れる。
「クミっ、返事して」
「はいリタ殿、ちゃんと成功いたしましたぞ」
「おお~!!すごい!」
さっきまで黙っていたアアルが羽で拍手をしていた。
確かにこれは凄い。
精霊というのはこういう能力もあるんだなと実感したところで疑問が思い浮かんだ。
「アアルはこういうことできるの?」
彼は首を横に振った。
「できるわけないよ、僕は聖鳥っていう種族だからね、魂そのものを別の物体に入れる能力なんて持ってないし、人間と同じで寿命もある、でも多分クミに寿命はないんだよね?」
「よくわかりましたな、確かに私に寿命はありません、強いて言えばこの世から人形が無くなれば相対的に死ぬとでも言いましょうか、まあそれもリタ殿がいてくれる間は問題はありませんが」
彼がそう呟いた瞬間、リタの瞳が光輝いていた。
「大丈夫!クミは絶対に死なせない!、私が大人になったら一杯人形を作ってこの町の子供達にあげるんだ、そうすればクミはずっとここにいられるよね!」
眩しいくらいの笑顔を向けた彼女の表情を見た人形は両羽を上に上げて喜んでいる。
「リタ殿!!、それでこそ私を呼び出した主人だと言えるでしょう!、私は一生をかけてでもあなた様を守る精霊として呼び出された事を誇りに思います」
そう言ってお辞儀をする彼の姿はどこか愛らしく、思わず和んでしまった。
「そうだ!、今ちょうどアアルもいるし二人並んで!」
「何をするの?カリン」
「いいから二人とも私の言う通りにして」
私がそう言うと彼らは肩翼を広げてアーチのような物を作った。
「ほらっ、仲よさそうに見えない?」
「あっ本当だ!、なんか楽しそうに見える!」
「何それ...、僕はよくわかんないんだけど...」
「ホッホッ、アアル殿、こういうのは気分という物ですぞ」
アアルがよく分かっていない様子だったので、自分達が実際に見せて見ることにした。
「リタちゃん!手を出して!」
「えっ!?」
驚きながらも片手を出してくれたので、その手を握り上に上げて♡を作って見せた。
それを見たアアルは頷いてこう呟いた。
「なるほど...、確かに楽しそうに見える!」
「ふふっ、でしょ!」
「カリンちゃん!ちょっと恥ずかしいよ!」
「良い友人を持って我がリタ殿も幸せですな~」
「ちょっとクミ!」
私たちの笑い声が上がる町は、なんだかいつもより明るく感じられました。
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