なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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表に出ろ...!

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 俺は顔を隠す様にローブを被りエルシーの踊りを見ていた。
 彼女の美しい踊りを見ていると心が騒ぎはじめてしまう。
 得体の知れないこの感情こそやはり恋だと思うのは俺だけだろうか?。
 まだ序盤だと言うのにこの盛り上がりよう...、やはり彼女には魅力があるのだと思える。
 敢えて遠くから彼女達を見守る様にしたのには理由がある。
 カリンと一緒にいれば恐らく彼女は俺の至近距離に何の躊躇いもなく近づいてくると思うからだ。
 今の俺は妙にエルシーという女性を意識している為、“今は近くに居たくない“という心の表れがそうさせたのだと思う。
 だが、実際に舞台が始まって彼女が踊っている所を見るとその事に関して後悔した。
 舞台の上で舞う彼女は何者よりも美しく、そして自由だと心の奥底から思えてしまったのだ...!。
 そんな彼女から一瞬でも遠ざかろうと考えた自分は馬鹿だ。
 思わずため息が漏れてしまったのは、自分の弱さに嫌気がさしたからである。

(俺って馬鹿だな...、何でこんな隠れる様にしてショーを見ているんだろう...、良い席のチケットを持っているのにわざわざ買い直してまで1番後ろの席に回ったんだからな...)

 それでもここに来た意味はあったと思える。
 この遠くからでもエルシーという存在は太陽の様に明るく、俺の心を温めてくれたのだから...。

(もう充分だな...、カリンには悪いが先に帰らせてもらおう...)

 俺が会場を後にしようとした瞬間に気がついた。

(...!?、殺気...!)

 この明るい会場の中では異様な気配。
 俺は殺気の元凶を探し出してそいつの手首を掴んだ。

「お客さん、ちょっと表に出て貰ってもいいですか?」

「あらら...見つかってしまったのかしら?」

 見つかった?とはどう言うことだろうか...、いや今は考えている余裕はない。
 せっかくの最高の舞台を壊されない様にする為に彼女をギルドの外へと連れ出した。

 ~ギルド外の広場~

 普段は人がいっぱいで賑わいを見せているこの広場ですら人はいない。
 いま殆どの人達はあのダンスショーを楽しんでいるのだろう。
 それほどまでに彼女が人気であるのは喜ばしいなのだが、問題はこいつだ。

「あんただろ?殺気会場内で殺気を出していたのは、目的はなんだ?」

 クスクスと笑いながら彼女はこう答えた。

「あらあらバレてしまっていたのね...、バレない様にやるつもりだったのだけれど、上手くいかない物ね...」

「御託はいい...、お前はあの場の空気を壊そうとしたんだ、それなりの報いは受けてもらうぞ...」

 俺が剣を出現させ切っ先を彼女に向けると、何故か彼女は笑っていた。

「そうね...、だけれどわざわざ自分から死にに来てくれるなんて嬉しいわよ...、クティル王国騎士団ローシュ...」

「何故俺の名前を...!」

 俺が答えを聞こうとすると彼女はバッと白いローブを広げ、次の瞬間に彼女の世界を作り出していた。
 人の亡き骸が大量に転がる無限の荒野に俺と彼女は立っていた。

「さあ始めましょう...、聖人の子よ...、現輪廻教司祭ミライがお相手いたしましょう...」

 不気味に笑う彼女を見て俺は笑った。

「お前輪廻教徒だったのか...、だったら話は早い、さっさと終わらせてお前には色々と吐いて貰うことにしよう」

 緊迫した空気をぶち破るかの如く、先に動いたのは俺の方だった。
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