なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

文字の大きさ
上 下
156 / 361

なんだったんだろう

しおりを挟む
 2日目の王国祭。
 今日こそはお兄ちゃんと一緒に祭りを楽しもうと思います。
 昨日はお兄ちゃんとは残念なことになってしまったので、今日くらいはしっかり兄と過ごそうと思っているのですが、どうしても昨日の白装束をきこんだ謎の人物の言葉がまだ耳から離れません。

「まだ早かった」

 この言葉が繰り返し私の頭を回ります。
 私がぼ~っとしていると、お兄ちゃんが声をかけてきました。

「カリン?」

「わぁ!!何!?」

 急に声をかけられたのでびっくりしてしまいました。

「いや、さっきから虚ろな目してるから大丈夫かなって思ってさ」

「えっ!?...、ああ!大丈夫大丈夫!」

「そうかぁ?、疲れたんなら早めに言ってくれよ、いつでも休憩していいんだからな」

「うん、ありがとう」

 彼に礼を言いますが、以前として彼の私を見る目は心配しているようでした。

(ダメだなぁ私...、せっかく兄さんが楽しませてくれようとしているのに、当の本人がこのザマじゃあね...)

 ハァとため息を吐いて彼が腰につけている剣に目がいきました。
 昨日出会ったあいつも使ってた武器。
 魔法と違い、一本あれば半永久的に戦い続けれる理想的な武器。

(剣か...、触った事もないけど私も一応剣聖の娘なんだよね?、もしかしたら私もその才能を持っているかもしれないよね?)

 先の戦いにおいて魔力を使いきると、戦う術を失うという状況に出くわしてしまったので、魔法を使わない戦い方もかじっておいた方が良いと思う私。

「ねぇ...、お兄ちゃん、私にも剣を教えてくれないかな?」

「どうしたんだいきなり?」

「うん...、実は最近魔法だけじゃ心許こころもとないなって思うようになっちゃって、本業は魔法使いになろうと思ってるけど、剣をかじっておくのも悪くないなと思ったの」

「教えるのはいいが時間は大丈夫なのか?、プラム姉さんとの魔法訓練やエルシーとのダンス会を続けながら剣もやるとなるとかなり忙しくならないか?」

 心配そうな表情で私を見てくる彼でしたが、私の意思は決まっていました。

(前世では何のために生きたいのかわからなかったけど、こっちに来て何度も友達を失いそうになってやっとわかったんだ...、私は誰も失わないくらい強くなりたい!)

 誰かを失うことに比べるのなら、自分の時間が少なくなるのなんてどうでもいいと思えました。

「うん!、全部やる!私はお兄ちゃんの妹だから絶対にできるよ!」

 私は笑顔を彼に向けたのですが、その時の彼はなぜか少し暗い顔をしていました。

「勿論妹の頼みだから問題なく請け負うんだが、そうか」

 歯切れが悪い彼を見たので何か悪い事をしたのかと思ったのですが、次の瞬間には元の明るいお兄ちゃんに戻っていました。

「ああ、わかった!教えてやる!、だけどトウマも一緒に教えるつもりだから厳しくはさせて貰うぞ!、じゃないと剣の修行なんて意味ないからな」

「うん!それでいいよ!私も強くなりたいから!」

 私の答えを聞いた彼は後ろを振り向き小さく言葉をこぼしていました。

「妹が剣を始めたいなんて言い出すとはな...、こんなんじゃ俺は騎士失格だな...」

 本当に小さい言葉だったので私には聞き取れませんでした。

「お兄ちゃん?」

「な~んでもないよ!カリン!、でもまっ、剣の練習はクティル王国祭が終わってからな!、それまでは祭りを楽しもうな!」

 そう言って場を盛り上げようとしてくれる彼でしたが、この時ばかりはなんだか寂しそうにしていました。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

精霊に転生した少女は周りに溺愛される

紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。 それを見た神様は新たな人生を与える 親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。 果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️ 初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

私はモブのはず

シュミー
恋愛
 私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。   けど  モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。  モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。  私はモブじゃなかったっけ?  R-15は保険です。  ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。 注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

形成級メイクで異世界転生してしまった〜まじか最高!〜

ななこ
ファンタジー
ぱっちり二重、艶やかな唇、薄く色付いた頬、乳白色の肌、細身すぎないプロポーション。 全部努力の賜物だけどほんとの姿じゃない。 神様は勘違いしていたらしい。 形成級ナチュラルメイクのこの顔面が、素の顔だと!! ……ラッキーサイコー!!!  すっぴんが地味系女子だった主人公OL(二十代後半)が、全身形成級の姿が素の姿となった美少女冒険者(16歳)になり異世界を謳歌する話。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

処理中です...