なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

文字の大きさ
上 下
137 / 361

月の髪飾り

しおりを挟む
 むすっとする私をあやすように、兄さんはアイスクリームを買ってきてくれました。

「悪かったって...、これはお詫びだ」

「もうっ...、にーにがちゃんと教えてくれていたらこんな事にならないで済んだんだからね!」

「わかったわかった、わかったから機嫌を直してくれ」

 それを受け取った私は、それを舐めながらそっぽを向いて歩いていきます。
 別に兄さんが悪い訳ではないのですが、ちょっと恥ずかしくなったのでした。

「おいおい!待ってくれよ!」

「にーになんて知らない!」

 完全に無知だった自分が悪いのですが、この時の私は、彼が教えてくれていなかった事であんなに驚いたのだと考えていた為、どうしても彼を許すことができないのでした。
 剣幕を立てながら歩いていくと、小物の出店があったのでちょっと気になってしまい見て見ることにします。
 出店に近づき、小物を見ているとお店の人が私にこう言ってきました。

「お嬢ちゃん、何かお探しものかい?」

「いえ、ちょっと気になって見ているだけです」

 異世界の小物を見ていると、不思議な物もたしかに多いのですが、それよりも普通のアクセサリーに目がいってしまいます。
 やはり餅月林華だった時の記憶の所為か、そういう普通な小物の方が目につきやすいのでした。
 結局私が手にとって見ていたのは、月の形をした髪飾りでした。
 簡単な作りで、誰でも作れそうな物なのだが、私の目に留まったのはそれで、なんだか月という単語に惹かれてしまっています。
 私の真実の名に月という字があるので、なんだか運命のような物を感じずにはいられないのでした。

「それが欲しいのか?」

 突然後ろから声をかけられたのでびっくりしました。

「きゃっ!...、なんだ...にーにか...」

「なんだとはなんだ...、まあそれはいいとして、カリンはそれが欲しいのか?」

 そう言いながら月の髪飾りを指差してくるので、私は頷くました。

「うん...、なんだか惹かれちゃって...」

「じゃあこれください!」

 兄さんが店の人にお金を払おうとしたので止めます。

「いやいや、にーにに払わせる訳にはいかないよ!、自分で払うからお財布をしまって!」

 私がそう言っても彼は笑いながらお代を払いました。

「今日はお祭りだぜ、こういう時は兄が妹に何か奢るもんだろ?、ちょっとくらいにーににもカッコつけさせてくれよ」

「おっ!、兄ちゃんいい兄貴だね~、ちょっとおまけしといてやるよ!」

「おっ!サンキューオヤジ!、だったらついでにこの太陽のアクセサリーも買うぜ!、妹が月の髪飾りを買うんなら俺は太陽を選ぶぜ!」

 すっかり出店の店主と意気投合した兄さんが無駄な買い物もしました。

「毎度あり~、来年も頼みますよ!」

「おうっ!またくるぜ!」

(なんか上手いこと乗せられたと思うのは私だけかな...?)

 そう思いながらも、私は小袋に包まれた髪飾りをぎゅっと大事そうに抱きしめています。
 それを見た兄さんが微笑んだ時に、私はこれを買ってよかったと思うのでした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

精霊に転生した少女は周りに溺愛される

紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。 それを見た神様は新たな人生を与える 親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。 果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️ 初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

私はモブのはず

シュミー
恋愛
 私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。   けど  モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。  モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。  私はモブじゃなかったっけ?  R-15は保険です。  ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。 注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

形成級メイクで異世界転生してしまった〜まじか最高!〜

ななこ
ファンタジー
ぱっちり二重、艶やかな唇、薄く色付いた頬、乳白色の肌、細身すぎないプロポーション。 全部努力の賜物だけどほんとの姿じゃない。 神様は勘違いしていたらしい。 形成級ナチュラルメイクのこの顔面が、素の顔だと!! ……ラッキーサイコー!!!  すっぴんが地味系女子だった主人公OL(二十代後半)が、全身形成級の姿が素の姿となった美少女冒険者(16歳)になり異世界を謳歌する話。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

処理中です...