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父と息子
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「母さん達帰ってこないな...」
俺は部屋でゴロゴロしていたのだが、教会に行ったきり戻ってこない2人が心配になったので様子を見に行こうとした。
一階に降りた際に父が料理をしていたので少し驚いた。
最近は俺や母さんに料理を任せてくれていたので、父さんが料理を作るを見たのは本当に久しぶりだったからだ。
だが、今はそんな事よりも妹の方が気になって出かけようとした時に声をかけられた。
「ローシュ!、お前も手伝え!、今日エルカ達は教会に泊まるそうだから晩御飯を作らなくては行けなくなった!」
エプロンを着けたままの父の声を聴くと少し笑える。
「分かったよ!、俺も今から手伝うわ!」
俺は父さんの横について調理を手伝う。
と言っても父さんがほとんど作ってしまうのでいらない手伝いだと思う。
相変わらず手際が良いので俺が足を引っ張らないように動くしかない。
父さんの料理の腕は一流で、以前は王国料理長として名を馳せる程だったのだが、いざ戦争が始まると今度は剣の才能を開花、瞬く間に才覚を表し騎士団長にまで昇進したのだと言う。
実際その現場を見たわけではないが、今の父さんの姿を見ていれば、そのくらいは容易に想像がつく。
結局俺はほとんど調理をせず、ただただ出来上がった物を皿に盛り付けるだけの仕事をする。
ただ、ここで父さんの神経を逆なでしてはいけない。
とにかく綺麗に盛り付けるのだ。
適当に皿に入れるだけだと、父さんの威圧を直に感じることになる。
忘れもしないあの日、俺がまだ小さかった頃。
父さんの料理を俺が盛り付けて、形がぐちゃぐちゃになってしまったのだ。
その時の俺を見る表情がとても冷ややかな視線だったのを今でも覚えている。
とにかく、父さんは料理に関しては絶対に譲れない線を引いているようなので、そこを見極めて盛り付ける。
ただ盛り付けるだけの作業に3分くらいかかるのはセッティングがあるからだ。
料理とは見た目も美しくてはならないという父さんの言葉だ。
旅の道中であればそんなことにいちいち口を出さない父さんだが、家で料理をするとなると別だ。
真剣な眼差しで調理にかかるその姿はまさに料理人というにふさわしい。
その独特のオーラは今でも健在であり、俺が肌に感じているのもまさにそれだと実感している。
飲み込まれそうになるが俺は耐える。
大丈夫、俺だって何年も父さんと料理してきているのだからこれくらいは朝飯前さ!。
そう心に言い聞かせながらなんとかセッティングを終えた。
俺が盛り付けを終えた皿を見て父さんが重い口を開いた。
やっぱり怖くなったので目を閉じてボロクソに言われるのを覚悟する。
「よくできてるじゃないかローシュ、さあ、温いうちに食べてしまおう」
予想外の言葉に俺は唖然とする。
「お...おう...」
その後は普通に食事が始まり、普通に終わる。
その際にも父さんは何も言わなかった。
俺は何かおかしいと感じながらも、きっと家に戻ってきたから少し心の余裕ができたのだと思い込む事にした。
父さんの様子が気になってしまい、食事に集中できない俺。
結局父さんの心境を見抜けないまま食事が終わる。
そう思いながら食器を片付けていると、不意に声をかけられたので背筋が凍った。
ほらくるぞ、絶対になんかやらかしたんだ!。
ゆっくりと後ろを振り向くと、思いもしない言葉をかけられたので一瞬思考回路がフリーズした。
「ローシュ...ありがとうな、父さんについてきてくれて、今でも感謝している」
「そんなの当たり前じゃねぇか!、家族なんだからよ...」
これまでに父からこんな言葉を貰った事は数えるほどしかないので、動揺してしまう。
嘘だろ...父さんが俺に感謝しているだと...?、いつもあんなにしごいてくる父さんが?。
ちょっと腑に落ちない部分もあったが、感謝されるのに悪い気分はしないよな...。
俺は父さんの方を見て少し笑うと、それを返すように父さんは手で返事を返してくれた。
俺は部屋でゴロゴロしていたのだが、教会に行ったきり戻ってこない2人が心配になったので様子を見に行こうとした。
一階に降りた際に父が料理をしていたので少し驚いた。
最近は俺や母さんに料理を任せてくれていたので、父さんが料理を作るを見たのは本当に久しぶりだったからだ。
だが、今はそんな事よりも妹の方が気になって出かけようとした時に声をかけられた。
「ローシュ!、お前も手伝え!、今日エルカ達は教会に泊まるそうだから晩御飯を作らなくては行けなくなった!」
エプロンを着けたままの父の声を聴くと少し笑える。
「分かったよ!、俺も今から手伝うわ!」
俺は父さんの横について調理を手伝う。
と言っても父さんがほとんど作ってしまうのでいらない手伝いだと思う。
相変わらず手際が良いので俺が足を引っ張らないように動くしかない。
父さんの料理の腕は一流で、以前は王国料理長として名を馳せる程だったのだが、いざ戦争が始まると今度は剣の才能を開花、瞬く間に才覚を表し騎士団長にまで昇進したのだと言う。
実際その現場を見たわけではないが、今の父さんの姿を見ていれば、そのくらいは容易に想像がつく。
結局俺はほとんど調理をせず、ただただ出来上がった物を皿に盛り付けるだけの仕事をする。
ただ、ここで父さんの神経を逆なでしてはいけない。
とにかく綺麗に盛り付けるのだ。
適当に皿に入れるだけだと、父さんの威圧を直に感じることになる。
忘れもしないあの日、俺がまだ小さかった頃。
父さんの料理を俺が盛り付けて、形がぐちゃぐちゃになってしまったのだ。
その時の俺を見る表情がとても冷ややかな視線だったのを今でも覚えている。
とにかく、父さんは料理に関しては絶対に譲れない線を引いているようなので、そこを見極めて盛り付ける。
ただ盛り付けるだけの作業に3分くらいかかるのはセッティングがあるからだ。
料理とは見た目も美しくてはならないという父さんの言葉だ。
旅の道中であればそんなことにいちいち口を出さない父さんだが、家で料理をするとなると別だ。
真剣な眼差しで調理にかかるその姿はまさに料理人というにふさわしい。
その独特のオーラは今でも健在であり、俺が肌に感じているのもまさにそれだと実感している。
飲み込まれそうになるが俺は耐える。
大丈夫、俺だって何年も父さんと料理してきているのだからこれくらいは朝飯前さ!。
そう心に言い聞かせながらなんとかセッティングを終えた。
俺が盛り付けを終えた皿を見て父さんが重い口を開いた。
やっぱり怖くなったので目を閉じてボロクソに言われるのを覚悟する。
「よくできてるじゃないかローシュ、さあ、温いうちに食べてしまおう」
予想外の言葉に俺は唖然とする。
「お...おう...」
その後は普通に食事が始まり、普通に終わる。
その際にも父さんは何も言わなかった。
俺は何かおかしいと感じながらも、きっと家に戻ってきたから少し心の余裕ができたのだと思い込む事にした。
父さんの様子が気になってしまい、食事に集中できない俺。
結局父さんの心境を見抜けないまま食事が終わる。
そう思いながら食器を片付けていると、不意に声をかけられたので背筋が凍った。
ほらくるぞ、絶対になんかやらかしたんだ!。
ゆっくりと後ろを振り向くと、思いもしない言葉をかけられたので一瞬思考回路がフリーズした。
「ローシュ...ありがとうな、父さんについてきてくれて、今でも感謝している」
「そんなの当たり前じゃねぇか!、家族なんだからよ...」
これまでに父からこんな言葉を貰った事は数えるほどしかないので、動揺してしまう。
嘘だろ...父さんが俺に感謝しているだと...?、いつもあんなにしごいてくる父さんが?。
ちょっと腑に落ちない部分もあったが、感謝されるのに悪い気分はしないよな...。
俺は父さんの方を見て少し笑うと、それを返すように父さんは手で返事を返してくれた。
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