88 / 361
憧れの剣士
しおりを挟む
「来る日も来る日も雑用...、やってられるか!」
俺はあの人と始めて会った公園で愚痴をこぼしていた。
「くそっ、こうなったら1人でも強くなってやる...」
俺は武器の錬成を始めるが、鉄の武器を4本作ると錬成が甘くなってしまう。
「くそっ、ローシュさんは何十個も錬成した上であの強度を保ってたんだぞ...、もっと硬くもっと早くもっと強く錬成しないといけないのに...!」
目を閉じて武器を錬成し始めると不意に声をかけられた。
「武器の強度よりも生成効率が悪いな、もっと魔力の消費量を抑えながら丁寧に錬成し、今の物と同じ強度の物を作れ」
いきなりくれたアドバイスに戸惑いながらも言われた通りにしてみる。
「えっと、魔力の消費量を抑えるんだな...、少し弱める代わりに丁寧に...」
ローシュのいう通りのイメージで錬成してみると、5本目6本目と連続で錬成できた。
「スゲェ..、ただイメージしただけなのに効率が上がった...」
「これがイメージの差だ、お前は一本一本を真剣に考えて錬成している、それ自体は素晴らしい事だが戦闘では強力な一つの武器よりも多量の武器を錬成して物量で押した方が大概有利なんだ、これからは大量の剣を錬成するイメージでトレーニングしてみろ」
始めてまともなことを教えられたので嬉しくなった俺はつい「ありがとうございました!」と返事をしていた。
それを聞いた彼は少しこっぱずかしそうにしている。
「...まあな...一応お前は俺の弟子なんだからよ...」
それだけいうと彼は去って行く。
後からカリンがこちらに走って来るのがみえた。
何やら彼に言った後に俺の方に向かってくる。
「トウマ、お兄ちゃんには言っておいたからもう大丈夫だよ、これからはちゃんと指導してもらえるよう私が言っておくから!」
そんなことを今更言われた俺は心から笑った。
「ありがとう、でも大丈夫だ、カリンの兄さんはお前が思っているよりもいい先生だ」
「そう?私にはトウマを虐めているようにしか見えなかったんだけど...」
「そう見えるってことは、お前にはまだ兄の本質が見えたいないんだろうよ、少なくとも俺に伝わったぞ」
不満そうな彼女を見て俺は少し嬉しくなった。
きっとカリンは兄の厳しい一面を見たことがないのだろう。
だからあのくらいの厳しさで異常だと感じるのだ。
だが違う、彼は確かに意味のなさそうな指導をしていたが、それは基本の生活すらできない奴が一人前になれないということの暗示だったのだという事に今気がついた。
それにカリンは気づかず、俺は気がついている事を嬉しく思う。
絶対に無意味な事だとは思っていなかった、なんたってあの人は俺の憧れた剣士なのだから...。
俺はあの人と始めて会った公園で愚痴をこぼしていた。
「くそっ、こうなったら1人でも強くなってやる...」
俺は武器の錬成を始めるが、鉄の武器を4本作ると錬成が甘くなってしまう。
「くそっ、ローシュさんは何十個も錬成した上であの強度を保ってたんだぞ...、もっと硬くもっと早くもっと強く錬成しないといけないのに...!」
目を閉じて武器を錬成し始めると不意に声をかけられた。
「武器の強度よりも生成効率が悪いな、もっと魔力の消費量を抑えながら丁寧に錬成し、今の物と同じ強度の物を作れ」
いきなりくれたアドバイスに戸惑いながらも言われた通りにしてみる。
「えっと、魔力の消費量を抑えるんだな...、少し弱める代わりに丁寧に...」
ローシュのいう通りのイメージで錬成してみると、5本目6本目と連続で錬成できた。
「スゲェ..、ただイメージしただけなのに効率が上がった...」
「これがイメージの差だ、お前は一本一本を真剣に考えて錬成している、それ自体は素晴らしい事だが戦闘では強力な一つの武器よりも多量の武器を錬成して物量で押した方が大概有利なんだ、これからは大量の剣を錬成するイメージでトレーニングしてみろ」
始めてまともなことを教えられたので嬉しくなった俺はつい「ありがとうございました!」と返事をしていた。
それを聞いた彼は少しこっぱずかしそうにしている。
「...まあな...一応お前は俺の弟子なんだからよ...」
それだけいうと彼は去って行く。
後からカリンがこちらに走って来るのがみえた。
何やら彼に言った後に俺の方に向かってくる。
「トウマ、お兄ちゃんには言っておいたからもう大丈夫だよ、これからはちゃんと指導してもらえるよう私が言っておくから!」
そんなことを今更言われた俺は心から笑った。
「ありがとう、でも大丈夫だ、カリンの兄さんはお前が思っているよりもいい先生だ」
「そう?私にはトウマを虐めているようにしか見えなかったんだけど...」
「そう見えるってことは、お前にはまだ兄の本質が見えたいないんだろうよ、少なくとも俺に伝わったぞ」
不満そうな彼女を見て俺は少し嬉しくなった。
きっとカリンは兄の厳しい一面を見たことがないのだろう。
だからあのくらいの厳しさで異常だと感じるのだ。
だが違う、彼は確かに意味のなさそうな指導をしていたが、それは基本の生活すらできない奴が一人前になれないということの暗示だったのだという事に今気がついた。
それにカリンは気づかず、俺は気がついている事を嬉しく思う。
絶対に無意味な事だとは思っていなかった、なんたってあの人は俺の憧れた剣士なのだから...。
0
お気に入りに追加
230
あなたにおすすめの小説

ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。

精霊に転生した少女は周りに溺愛される
紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。
それを見た神様は新たな人生を与える
親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。
果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️
初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

私はモブのはず
シュミー
恋愛
私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。
けど
モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。
モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。
私はモブじゃなかったっけ?
R-15は保険です。
ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。
注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。

転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

形成級メイクで異世界転生してしまった〜まじか最高!〜
ななこ
ファンタジー
ぱっちり二重、艶やかな唇、薄く色付いた頬、乳白色の肌、細身すぎないプロポーション。
全部努力の賜物だけどほんとの姿じゃない。
神様は勘違いしていたらしい。
形成級ナチュラルメイクのこの顔面が、素の顔だと!!
……ラッキーサイコー!!!
すっぴんが地味系女子だった主人公OL(二十代後半)が、全身形成級の姿が素の姿となった美少女冒険者(16歳)になり異世界を謳歌する話。


このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる