なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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己の理想

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「今日カリンの兄は家にいるか?」

 俺は彼女に聞いてみると、不思議そうな顔をした。

「え...っと兄さんなら家に帰ればいると思うけど、どうしたの?」

「いや、ちょっと用があってな...、今日カリンの家に遊びに行ってもいいか?」

「別に構わないけど...」

 俺は彼女の承諾を得ると、目線をそらして彼女から離れる。
 あの時の光景をもう一度脳裏に浮かばせる。
 あの数の剣を錬成する方法が何かきっとあるはずなのだ。
 俺はそれが知りたい。

 ~放課後~

 世界が夕日に染まる時間が今日も来る。
 先生の授業終了の声が教室内に響き渡ると、学校が終わる合図のように皆が教室から出て行く。

「カリン帰るぞ」

「ちょ!待ってよ!」

 俺が急かす様に帰り仕度をしたので、彼女は不機嫌になりつつ俺の横を歩いている。
 そんな俺を見た彼女は、こんな事を呟いた。

「ねぇトウマ、なんかあった?」

「いや...別に...」

 そう彼女には伝えるが、きっとすぐにバレるだろう。
 こういう時の彼女の感は冴えているのだ。

「はは~ん...さてはこの前の事で兄さんにまた何か教わろうって魂胆ね...」

 図星を突かれたので言葉に詰まる。

「...」

「大丈夫だって!私は応援するよ、頑張ってる人を見るのは好きだから」

 彼女はそう言いながら笑顔で歩き出す。
 余りにも美しい表情に俺は思わず見とれてしまう。
 やっぱりあの時だ。
 あの時カリンに助けられた事により、俺の理想の女の子が彼女になってしまっているのだ。
 俺にとって頼りになるカッコいい女の子...、それがカリンという人。
 またその子に助けられたとなっては男として恥だと思い、俺は心底悩んでいた。

(どうしたらもっと強くなれる...?)

 そんなことばかり考える。
 迷いの袋小路に差し出した光が彼女の兄だったのだ。
 彼の活躍を見たとき、俺もあんな風になりたいと心の奥底から思えたのだ。
 笑顔で敵を倒し市民を守る...。
 言葉にすればこんなにも短い文字なのに、実際に実行しようと思うと難しい事この上ない。
 もう少しで彼女の実家が見えてくる。
 ついに家の間に立った俺は大きく深呼吸をし、彼女の家の玄関に手をかけた。
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