なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

文字の大きさ
上 下
80 / 361

先生の指導

しおりを挟む
 皆が帰った後の教室。
 私と先生は2人で教室に佇んでいる。

「先生、今日も指導の方お願いします」

 私は礼儀正しくお辞儀をする。

「分かってる、もう報酬は貰っちゃってるからね、本気で指導してあげる」

 そういうと、彼女は指をパチっと鳴らして血まみれの魚を教卓の上に出現させる。

「さあ、早く治してあげなさい」

「ハイッ!」

 私は両手に魔法力を込めて傷を癒して行く。
 あの時と同じだ、慎重に確実に丁寧に行為を続けていると。
 先生は等間隔にボールを置いて行く。
 謎の行動に私は疑問に思っていると、先生はボールを指差してこう言った。

「その魚の傷を癒しながらこのボール全てに風の魔法を当てなさい!、敵が回復の途中で襲いかかって来ることもあるでしょう、その為の特訓と思いなさい!」

「ハイッ!先生!」

 私は魚に回復魔法をかけ続けながら、風の魔法を使おうと左手をボールに向ける。
 これが意外ときつい。
 今までは両手で回復に専念できていたが、片手では確実に回復が遅れてしまう。
 それに回復と攻撃の魔法を同時にだなんて、とてつもない魔法コントロール力がなければ絶対にできない。
 相反する魔法を同時に打つということは、全く違うイメージを頭の中に二つ思い浮かべることに相違ない。
 だけど大丈夫、私ならきっとできるという自信はあった。
 何故ならば、ランニングをしながら肺の強化魔法を使う事と大体のイメージが似ていたからである。
 左手に空気を圧縮し魔力を込めてボールを狙う。
 片手な上に利き手ではないので手元が狂うが頑張る。
 なんとか空気を押し出すことには成功したが、その風の弾丸には威力がなかった。
 ボールにかすりはしたものの、わずかに揺れただけであった。
 それを見た先生は厳しい口調で「次!」と叫ぶ。
 私はもう一度狙いをつけ風を噴射するが、今度はかすりもしない。
 それにさっきから息が苦しい。
 全く違う魔力を同時に練り上げるということは、無駄に魔力を消費しているに等しい。
 結果的に消耗が早くもう息が切れかけていた。

「ハァハァ...」

「どうしたの?もうお終い?まだ何も出来ていないけど」

 冷たい言葉を投げかけてくるが、事実まだ何も出来ていない。
 魚の傷は治せておらず、ボールの一つも動かせていない。
 こんなことでは何も守れない。
 魔力が消耗して辛い体に鞭を打って、無理に魔力を捻り出す。

「大丈夫です...!、まだいけます...!」

 額から流れ落ちる汗が魚に当たるのが見えた。

(集中して...もう一回...)

 息を大きく吐いて集中し直す。
 思えばこれほど何かに打ち込んだ事は無かったと思う。
 だけど、この前のトウマの姿を見たら居ても立っても入れられなくなったのだ。
 あんなにボロボロになるまでフレイ君を庇って戦っていた彼の姿を思い浮かべる。

(怖かったんだろうな...苦しかったんだろうな...、元はといえば私が止めなかったのが悪いんだ!、だから今度は自信を持って止める、!それが出来ないならばせめて怪我を治す!、それが私にできる事だから...)

 そんな思いを胸に秘め、練習を続けた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

精霊に転生した少女は周りに溺愛される

紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。 それを見た神様は新たな人生を与える 親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。 果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️ 初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

私はモブのはず

シュミー
恋愛
 私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。   けど  モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。  モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。  私はモブじゃなかったっけ?  R-15は保険です。  ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。 注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

形成級メイクで異世界転生してしまった〜まじか最高!〜

ななこ
ファンタジー
ぱっちり二重、艶やかな唇、薄く色付いた頬、乳白色の肌、細身すぎないプロポーション。 全部努力の賜物だけどほんとの姿じゃない。 神様は勘違いしていたらしい。 形成級ナチュラルメイクのこの顔面が、素の顔だと!! ……ラッキーサイコー!!!  すっぴんが地味系女子だった主人公OL(二十代後半)が、全身形成級の姿が素の姿となった美少女冒険者(16歳)になり異世界を謳歌する話。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

処理中です...