なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

文字の大きさ
上 下
72 / 361

トウマVSフレイ②

しおりを挟む
「フレイ!今日は魔物狩りで勝負だ!」

「少し危ないけど、分かった、相手になろう」

 俺はフレイに勝負を挑んでいた。
 今日はせっかく町の外に出れるいい機会なのでスライム狩りで勝負をしようと前々から考えていたのだ。
 フレイにも事前に話していたので抜かりはない。
 昼食のこの時間にスタートして、どちらが多くスライムゼリーを集めれるかの勝負だ。
 今回は自信がある。
 素早さだけならばフレイにも負けないという確固たる自信が俺には存在する。

「悪いが、今回という今回は俺が勝たせてもらうぞ」

「トウマには悪いけど、僕も負ける気はない」

 俺たちは顔を見合わせて笑った。
 俺は腕時計のタイマーを30分に設定する。
 この音が鳴り響く時がスタートの合図だ。

「いくぞ...、スタート!!」

 俺がタイマーを押すといいチ~ンという金属音が鳴ってタイマーが作動する。
 2人は一斉に走りだしてスライムを狩っていく。
 俺は早速最近覚えたスキルを使う。
 カリンの兄さんに聞いたスキルポイントのお陰で武器の錬成速度が上昇していたのだ。
 フレイは俺がいつもより早く武器を装備していたので少し驚いていたが、すぐに前を向いて駆け出していた。
 俺が剣撃でスライムを倒すのと、あいつが炎でスライムを倒すのは大体同じくらいの時間がかかる。
 つまりこの勝負、素早さで勝る俺の方が有利。
 スライムを倒す時間だけではない、探す時間もいるので余計に素早さは大事なのだ。
 それに今日のあいつはなんだか動きがぎこちない気がする、これはチャンスだ。
 ある程度時間が経つと俺は勝ち誇ったような表情であいつの方に声をかける。

「今回は俺の勝ちのようだな!、どう考えても俺の方が倒した量がおおいぜ!」

 俺はそう言ったのだが、あいつは澄ました顔でこっちを向く。

「さあ?、勝負は最後までわからないよ、トウマ」

 余りにも余裕そうだったので少し頭にきて余計に張り切ってスライムを倒していく。
 ついに時計のタイマーが鳴り響き、勝負の時間がきた。
 各々が倒したスライムの塊であるゼリーを拾い集めて比べる。
 明らかに俺の方が大きかったので高笑いをあげる。

「ついに...、ついに俺はフレイに勝ったんだな!」

 ガッツポーズであいつの方に向いて勝利の余韻に浸っていると。

「フレイ様、スライムを相当数討伐して参りました」

 と声がしたので振り返る。
 そこには火のトカゲのような存在が空中に浮いており、スライムゼリーを大量に持ってきたのだ。
 ゼリーが何個か地面に落ちるのを見た俺はフレイの方に向き直る。

「じゃあトウマ、数え直そうか」

 俺はぐぬぬと唸りながらも数を数えたのだが、流石に負けていた。
 どうしても納得の出来ない俺はフレイに指を突きつけて声を上げた。

「そのトカゲみたいなのはなんだ!、てかニ対一はずるいだろ!」

「ははっ、ごめん、どうしても新しい魔術を覚えたから試してみたくなってね」

 笑いながら俺の方を見てくるあいつを、俺は無性に殴りたくなった。
 笑いながらも、そのトカゲを手のひらに這わせて俺の方に近づけてくる。

「紹介するよ、この子はチコ、僕がトカゲの召喚獣を呼び寄せたらこの子が現れたんだ」

「お初にお目にかかります、私はチコと申します、あなたはトウマ様ですね」

「ああ、そうだが...、これってカリンのアアルみたいなもんか?」

「大体それで合ってるとおもうよ、最近契約したばっかりだから、他人に見せたのは今日が初めてなんだ」

 俺はチコを眺めて見るが、白いトカゲなんぞ初めて見た。
 色素が薄いのか、チコの体表はダイヤのように白く輝いて見える。
 表現的にダイヤは言い過ぎかもしれないが、珍しい色のトカゲであることは間違いない。

「とりあえず今日も僕の勝ちだねトウマ」

「くそ~...、でもやっぱり納得できね~!」

 今日は何故かフレイの動きが鈍いと感じていたのは、召喚獣を呼び寄せていたからだと思うと合点が行く。
 頭を掻きむしりながらトカゲを見やる俺は、フレイと一緒に来た道を戻ろうと背を向けた。
 そしてそのまま歩いて皆のいる広場に戻っていった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

精霊に転生した少女は周りに溺愛される

紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。 それを見た神様は新たな人生を与える 親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。 果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️ 初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

私はモブのはず

シュミー
恋愛
 私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。   けど  モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。  モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。  私はモブじゃなかったっけ?  R-15は保険です。  ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。 注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

形成級メイクで異世界転生してしまった〜まじか最高!〜

ななこ
ファンタジー
ぱっちり二重、艶やかな唇、薄く色付いた頬、乳白色の肌、細身すぎないプロポーション。 全部努力の賜物だけどほんとの姿じゃない。 神様は勘違いしていたらしい。 形成級ナチュラルメイクのこの顔面が、素の顔だと!! ……ラッキーサイコー!!!  すっぴんが地味系女子だった主人公OL(二十代後半)が、全身形成級の姿が素の姿となった美少女冒険者(16歳)になり異世界を謳歌する話。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

処理中です...