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父さんの心
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峠の途中の広場に着いた。
(ようやく着いたか、この日のためにかくし芸の手品でもしようかな?)
私は子供達を見ながらシートを敷く。
せっかく娘に久しぶりに会えたのだから何か喋らなくてはならないだろうと思うのだが、何を喋っていいのか分からない。
ローシュとならば、鍛錬の話から始めればスムーズに会話が進むのだが、娘とは何を喋っていいのかをずっと考えている。
再び娘の方を見てみると、何だか避けるように顔を背けるのが可愛くはあるのだが、悲しい。
(うむ...、何を話そうか...)
私がそう考えていると、エルカが微笑みながらお弁当を広げる。
「さあ、皆で頂きましょう♪、母さん張り切って沢山作っちゃった♪」
「いただきま~す!!」
真っ先に弁当のソーセージにかぶりついたのはアアルだった。
夢中で頬張る鳥を見て、皆が笑顔になる。
ただ、同族食いになるのだが、アアルは気がついていなさそうだ。
娘が弁当を頬張る姿を久しぶりに見た気がする。
そう、いつも自分だけは早めに食べていたので、娘の食事する姿を見た事がない。
美味しそうに食べる彼女を見ていると、微笑ましい気分になり、精神内では笑みを浮かべている。
だが、実際のところワタシの口角は上がっていない。
これは私に問題があるのだが、子供の頃から笑うのが苦手だった。
感情があまりないとでも言おうか、とにかく感情の起伏がそこまで激しくないのは確かだ。
なぜこうなったのか、自分が分かる限りでは、恐らく子供の頃にした鍛錬の影響だろうと思う。
親にしこたま修練をつまされた私は、表情を殺す事も徹底的に鍛え上げられた。
その影響が今になって響いているのかもしれない。
結婚し、子の親となった後にも残った後遺症とも言える。
子供達にも申し訳なく、息子であるローシュにも同じような教育をしたのだが、彼は持ち前の明るさのおかげか、私の様にならずにすんだ。
娘にはこの様な道を歩んで欲しくないので、妻であるエルカに教育の全てを任せたのだ。
だが、聖鳥を召喚できるほどにまで成長しているのには驚いた。
しかも人語を喋れるほどにまでなっていたので、行く末が恐ろしくもある。
ふと気になったことがあるので娘に質問してみる。
「カリン、学校は楽しいか?」
何気ない質問をされた彼女は、食べ物を飲み込んだ後に答えてくれた。
「うん!、楽しいよ、魔法の勉強も友達と遊ぶのも!」
「そうか、それなら良いんだ」
何気ない会話ができたので内心ガッツポーズを決める。
これだけの言葉を考えるのにもかなり時間がかかった。
娘には自分の様にはなって欲しくないので、戦いとは無縁の生活を送ってほしい。
それこそが、私が剣を取り続ける意味なのだから...。
つくづく自分は親には向かないなと、再確認した。
(ようやく着いたか、この日のためにかくし芸の手品でもしようかな?)
私は子供達を見ながらシートを敷く。
せっかく娘に久しぶりに会えたのだから何か喋らなくてはならないだろうと思うのだが、何を喋っていいのか分からない。
ローシュとならば、鍛錬の話から始めればスムーズに会話が進むのだが、娘とは何を喋っていいのかをずっと考えている。
再び娘の方を見てみると、何だか避けるように顔を背けるのが可愛くはあるのだが、悲しい。
(うむ...、何を話そうか...)
私がそう考えていると、エルカが微笑みながらお弁当を広げる。
「さあ、皆で頂きましょう♪、母さん張り切って沢山作っちゃった♪」
「いただきま~す!!」
真っ先に弁当のソーセージにかぶりついたのはアアルだった。
夢中で頬張る鳥を見て、皆が笑顔になる。
ただ、同族食いになるのだが、アアルは気がついていなさそうだ。
娘が弁当を頬張る姿を久しぶりに見た気がする。
そう、いつも自分だけは早めに食べていたので、娘の食事する姿を見た事がない。
美味しそうに食べる彼女を見ていると、微笑ましい気分になり、精神内では笑みを浮かべている。
だが、実際のところワタシの口角は上がっていない。
これは私に問題があるのだが、子供の頃から笑うのが苦手だった。
感情があまりないとでも言おうか、とにかく感情の起伏がそこまで激しくないのは確かだ。
なぜこうなったのか、自分が分かる限りでは、恐らく子供の頃にした鍛錬の影響だろうと思う。
親にしこたま修練をつまされた私は、表情を殺す事も徹底的に鍛え上げられた。
その影響が今になって響いているのかもしれない。
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子供達にも申し訳なく、息子であるローシュにも同じような教育をしたのだが、彼は持ち前の明るさのおかげか、私の様にならずにすんだ。
娘にはこの様な道を歩んで欲しくないので、妻であるエルカに教育の全てを任せたのだ。
だが、聖鳥を召喚できるほどにまで成長しているのには驚いた。
しかも人語を喋れるほどにまでなっていたので、行く末が恐ろしくもある。
ふと気になったことがあるので娘に質問してみる。
「カリン、学校は楽しいか?」
何気ない質問をされた彼女は、食べ物を飲み込んだ後に答えてくれた。
「うん!、楽しいよ、魔法の勉強も友達と遊ぶのも!」
「そうか、それなら良いんだ」
何気ない会話ができたので内心ガッツポーズを決める。
これだけの言葉を考えるのにもかなり時間がかかった。
娘には自分の様にはなって欲しくないので、戦いとは無縁の生活を送ってほしい。
それこそが、私が剣を取り続ける意味なのだから...。
つくづく自分は親には向かないなと、再確認した。
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