頑張れ♡女騎士ちゃん♡

食料調達

　逃亡生活において最も重要な食料の確保は困難を極めました。
　食料品はお金で購入するしかないので、かなりキツキツの生活を強いられていたのです。
　一応森の中に食べられる木の実などがあるにはあるのですが、そういう事には全くと言っていいほど無学なので手が出せないでいる私でした。
　こんな事になるんだったら、しっかりとそういう状況に備えておけばよかったと今更後悔する私ですが、姫様の為にも頑張らなくてはいけません。
　いつもならば、仲間に姫様の護衛を任せ、私が買い出しに行っていたのですが、今は私1人しかいないので、危険を承知で彼女を連れて村に買い出しに行かなくてはいけないのでした。

「サヤカ様、今から村に向かいますが、絶対にそのローブを下ろして素顔を晒してはいけませんよ、そして絶対に私から離れないで下さい」

「うん...大丈夫、私だってもう10歳だから、ちょっとくらい我慢できる」

「それでこそ我が王家の血を引くものです」

　彼女の目線に合わせながら手短にやるべき事を伝えました。
　薄汚れているローブを王族である彼女に来てもらうのは申し訳ないと思いながらも、こうでもしないとすぐに正体がバレて面倒な事になるので仕方ありません。

「サヤカ様申し訳ありません、我らが不甲斐ないばかりにこのようなお召し物を着ることになってしまって...」

「えっ？、別に気にしてないよ、フィアが頑張っているのに姫である私が我慢しない方がおかしいよね？、それにこのローブそんなに悪いセンスじゃないと思うな」

　ローブの裾をバサバサと振って遊んでいるのがとても子供らしい。
　そうした所を見ると、まだまだ姫様も子供なんだなと思ってしまいます。

「そう言って頂けるだけでも気が紛れます、では村の方へ向かいますが、絶対にフードは脱がないで下さいね」

「わかってる、私もそこまで馬鹿ではない」

　私はもう一度だけ念を押し、その後村に向かって歩き始めました。