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葬式後

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 葬式が終わると麗美お姉様と食事を行うことになりました。

 当然のように高い店を選ぶ姉様。

 ビルの最上階にある展望レストランを貸し切り、ディナーコース1万円を普通に出してきます。

「...」

「ふふっ。結美ちゃん。学校はどう?」

「どうって言われても...。普通だよ」

「普通...ねぇ。せっかく最高の頭脳があるのにあんな底辺高校に特待生してではなく普通科で行くのは明らかにおかしいよね? まあ、結美ちゃんが底辺の男子が好きなのは知ってるけれど、そこは大人になろうよ」

 紅ワインを飲みながら次々と私の地雷を踏み抜いてくるのは流石だ。

「...善処します」

「そう言ってもう何年が経ったの? そろそろ本当に考え直しなさいよね。貴方は愛川家の一員。いわゆるサラブレッドなのよ? どこぞの馬の骨の種なんか貰った所で何も得るものはないでしょうに...」

(...黙れ!)

 と声に出して言いたいが、ここは我慢だ。

「はい。お姉様の仰る通りです」

「...声質が全く変わらない。私に迷いを悟らせない良い声質だけど嘘だってバレてるわよ」

「...流石ですねお姉様」

「まあね。伊達に長いこと貴方のお姉様やってないわよ。ぷはぁ♡ このワイン美味しいじゃない!」

 今は私達以外に誰もいないので少し崩しているように見せかけておいて心の奥底では私の事を疑っているのは丸わかりだ。

 そう、この場に置いてお姉様も私も互いに嘘を付き合っている。

 私は兄様を殺したのが私であることを。

 お姉様は私が兄様を殺したことに勘づきながらもそれを悟られないように私が口を滑らすのを待っているのだ。

 こうやって酒を飲んで私を油断させているのも作戦の内である。

 これは油断ならないぞと思っていると、またしても予想外の言葉が飛んでくるのだった。

「あ~、それと結美ちゃん。私、明日から貴方の部屋にから」

「...えっ?」
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