最弱の職業【弱体術師】となった俺は弱いと言う理由でクラスメイトに裏切られ大多数から笑われてしまったのでこの力を使いクラスメイトを見返します！

まずは...

「まずは...」

　兄様の足取りを掴みます。

　ネットに繋いで兄様の大体の居場所はわかるのですが、相変わらず大体の場所という情報しかネット上では得られません。

　なので先程電話をかけた位置を逆探知し更に位置を絞り込む。

　その結果...！

「...えっ？」

　私の借りてるマンションの近くでした。

「...まさか！」

　全てを察した私は成香の方を見ました。

「...結美様。申し訳ございません」

　冷静にそう呟く彼女の声を聞いた瞬間でした。

「ぐっ！」

　私はいきなり後ろから鈍器のような物でどつかれたような感覚がしてそのまま気絶してしまう日でした。

　...。

「...うっ」

　私が目覚めたのは薄暗い地下室でした。

　椅子に手足を括りつけられており、全く身動きが取れません。

　しばらくしていると見覚えのある男が奥の扉から現れました。

「久しぶりだな結美」

「兄様」

　私の前に現れたのは端正な顔たちの男、愛川満貴でした。

「お前のような妹を持ってつくづく残念だよ」

「奇遇ですね。私もです」

「お互いに一人っ子だったのならなにも問題なかったのにな」

「そうですね」

　緊迫した空気感が漂う中、私から切り出しました。

「まさか兄様が成香を飼い慣らしているとは思わなかったわ。ずっと一緒にいたパートナーなだけに流石の私も傷ついたわね」

「だろう？　お前とあのボディガードの関係性は知っているが、金をちらつかせたらあっさり裏切ったよ。やはり金は全てだ。お前も奴を年収1000万以上で飼い慣らしていたようだが、俺は3000万払う事を約束した。まあ金の出し用だな」

「...そう」

「どうした？　悔しか？　結美」

　私の頬を撫でる奴の手の感触に不快感を感じずにはいられませんが、ここは我慢です。

「死んだ母さんに似てお前の顔は美しいな...。姉さんも顔は美しいが2人して俺を見下したようなその目が気に入らないんだよ」

　そう言って私の目を指差す兄様。

「俺は愛川家唯一の男子だぞ！　金勘定の才能があるだけのお前とただただ美貌が取り柄の姉さんに家系の頂点は絶対に譲らない！」

　その言葉に私は思わず笑ってしまいました。

「姉さんが美貌だけの女だと本気で思っているの？」

「...違うのか？」

「よ～くみてみなさい。姉さんこそ愛川家の血塗られた歴史の終着点そのものだよ」

「はんっ！　世迷言もいい加減にしろ！　お前はもう俺のために投資で稼いで貰うだけの存在だからな！　結果を出せば食事は用意してやる。お前は残りの一生をここで過ごすんだよ！　ははっ！　ざまぁないな！」

　なんて言われたのでそろそろ猿芝居は終わりにしましょうか。

「...そうね。まあ残りの余生を過ごすのは貴方の方だけど」

「...なにを言って」

　そこまで言いかけた奴に向かって私は駆け出しました。

「なっ！　どうやって拘束を！」

「こんな物見せかけだけの拘束だよ。兄様は成香の性格を読み違えたね。そしてさようなら...」

　私は隠しもっていた小さなナイフで彼の体を引き裂きました。

「ぐっ！　この程度で俺が負けるか！！！」

　確かに兄様もそれなりに護身術を身につけてはいますが、その練度は私の比ではありません。

(馬鹿な人、真面目な戦法で兄様が私に勝てる訳ないのに。最後までコンプレックスの塊みたいな男でしたね)

　愛川家の兄妹の中で1番才能に恵まれなかった人物。

　愛川満貴。

　彼に引導を渡すのが私の役目だろう。

　こればかりはやはり兄妹同士で決着をつけるしかない。

ちゃんと息の根が止まるまで首を刺し続けた私は赤い血をべったりと体に付着させながらもニッコリとした笑顔でこう呟くのでした。

「よかった♡ 早めに殺せて♡」