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エピローグ③

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 ~夜・愛川結美の住まうマンションの屋上~

(...愛川結美ですらの事を忘れていた? これはかなりの好機かもしれないわね)

 私、愛川結美にはカズ君との記憶が残っている。

 私の愛しい人高坂和希。

 なぜかその痕跡はこの世から完全に抹消されている。

 カズ君の家に出向いてみてもお母様もお父様も「うちに息子はいない」の一点張りだったし、幼稚園から高校まで彼の記録がないか辿ってみたのだけど、何一つとして証拠は出てこなかった。

「カズ君? 今のあなたは本当に【調停者】となり私たちに干渉しないと誓ってしまったの?」

 そうだとすれば恐らく人智では手の届く所にまで近づけないだろう。

 そう...では...。

「うふふ...♡ あはははは♡!」

 私は自らを抱きしめながら天を仰いだ。

「カズ君♡ 何年かかったとしても私はあなたを迎えに行くよ♡ その為にわざわざ異世界へとゲートを残しておいてくれたんだよね!? この世界にその解答がなかったとしても、これだけ無数にある異世界の全てにその解答がない訳じゃないよね!? わざわざ『ボードゲーマーズ』まで残しておいてくれたみたいだし、使えるものは何でも使ってあげる♡ そう...小鳥遊優樹ですらね♡」

 そして私は恍惚の目で夜の町を見下ろした。

 私は...進み続ける。

 この先がどれだけ困難な道のりだろうと、決して諦めたりしないとここに誓おう。

 桜髪の少女はそう高らかに笑うのだった。

~完結~
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