最弱の職業【弱体術師】となった俺は弱いと言う理由でクラスメイトに裏切られ大多数から笑われてしまったのでこの力を使いクラスメイトを見返します！

小鳥遊優樹③

「...もういいか？　お前は皆のいる世界に帰るんだ」

　俺の言葉に彼女は下を向いてこう呟く。

「...いやだ」

「わがままを言うな」

「これはわがままじゃないよ！　和希がこんな場所で1人で暮らすなんて私の方が耐えられない！　だったら私もここに残るよ！」

「優樹、ありがたい申し出だが俺はごめんだ。いいか？　調停者になった俺とお前の時間の流れは既に違っている。俺にとってはついこのあいだでも、お前にとっては100年が経過しているのと同じくらいの感覚になるのも時間の問題だろう。だから俺と一緒にいるのは優樹が不幸になるだけだ」

　そう言って目の間の彼女を現世に送り返そうとするのだが...。

「いやだ...。絶対にこの手を離さない！」

　彼女は俺の腕を握りしめて離さない。

　彼女の勇者武器である拳も緑色の勇気の光を放っている。

　彼女の思いは本気なのだろうということはそれだけで充分に理解できた。

「...優樹」

「なに？　和希」

「ありがとう」

　俺はそっと彼女に囁くと、そのまま彼女に睡眠のデバフをかけるのだった。