最弱の職業【弱体術師】となった俺は弱いと言う理由でクラスメイトに裏切られ大多数から笑われてしまったのでこの力を使いクラスメイトを見返します！

レギン=フィオエル

　調停者と俺たちの戦いは思ったよりも変な方向に傾いていた。

　俺たちの攻撃を躱し続けるだけの調停者の行動に違和感しかない。

「どうした？　反撃してこないのか？」

　俺の挑発に奴が答える。

「反撃？　出来るわけないでしょう？　貴方達は世界を救う為に姫君に選ばれた勇者達。私は貴方達の敵だけど貴方達の事が好きになってしまった哀れな大馬鹿者なんだから...」

　その言葉に俺は思わず「はっ？」と答えてしまう。

「何が好きになってしまっただよ。俺たちの事をここまで苦しめておいてその言葉はないだろう」

「...分からなくてもいいから聞いて。私は好きな人たちの表情ならなんでも見てみたいの。喜びの表情悲しみの表情怒りの表情楽しみの表情。そのどれもが愛おしくて愛らしい。それを見て楽しむのが私の趣味なんだから」

「趣味が悪いな。他人の事を見て楽しむ暇があるなら自分の幸せを望んだらどうなんだ？」

　俺の問いに奴は首を横に振る。

「貴方達の幸せは私の幸せ。貴方達の不幸は私の不幸。その全てが正しいとも正しくないとも言える。そう、私はそこの憎らしくも愛らしい愛川結美のことが大好きで大嫌いなの」

「...私の何が大好きで何が大嫌いなのですか？」

　そう愛川が呟くと調停者は俺たちにお辞儀をしてきた。

「...今更になりますが一応名乗っておきましょう。私の名前はレギン=フィオエルです」

　今更こいつの名前を知ったところでどうでもいいが、一応話だけは聞いてやろう。