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感情の濁流

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怒り、憎悪、恨み、苦悩を超えて脱力感が出てきてしまう。

「...」

 俺は目の前で妹と母さんを食われてしまった。

 もう肉親はこの世界にいない。

 天涯孤独の身とはこのことを指すのだろう。

 しかし...それを奪ったのは誰だ?

 俺は徐々に御徒の感情が込み上げてきた...。

 脱力を超えた先にあるのは止めどない怒りだけである。

 ゆっくりと立ち上がった俺は回復薬をがぶ飲みしながら詠唱を始めた。

(奴を倒せるだけの力を俺にくれ...)

『覚悟を決めましたか?』

「...誰だ?」

『覚悟を決めたのならば決意してください』

「...」

 メニュー画面が勝手に文字の羅列を並び上げるのを読み上げる。


 読み上げた上で俺はこう答えた。

「分かった。奴を倒せるのならその決意をしよう」

『...交渉成立を確認。個体名【高坂和希】は個体名【愛川結美】と結ばれる事が確定しました。これにより個体名【愛川結美】の願いは成就します』

「...」

『いつものメニュー画面を開きます。...。ジジッ...。【調・停・者・】の干渉により新たな覚醒魔法【使い魔の魂変換+3】を取得します。...ジジッ。謎の力によって使い魔と貴方の体力と魔力が全回復しました』

 謎のテキストとの会話を終えた俺の体は完全に回復しており、先程切断したはずの足も元通りくっついていた。

 ...先ほど切断した足と血溜まりはそこに残・っ・て・い・る・というのに。

「...【使い魔の魂変換+3】リィカ、アル子、フワン」

 しかし、今の俺の興味はそこにはない。

 俺の家族を奪った目の前の敵を滅ぼす事に尽力するのだった。

『...個体名【高坂真菜】の死亡を確認。EXスキル【ラカラの純粋な初恋】を取得しました。それによりEXスキル【盗賊暗殺者の技能】を習得しました』
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