最弱の職業【弱体術師】となった俺は弱いと言う理由でクラスメイトに裏切られ大多数から笑われてしまったのでこの力を使いクラスメイトを見返します！

二階堂銀二の思惑④

　僕は愛川さんの姿を堪能した後、病弱な妹の元へと向かった。

「にぃ...」

「一香、ただいま」

　僕は妹のおでこに優しくキスをする。

「にぃ、ありがとう」

「一香の為ならにぃはなんでもするさ。今日の薬だ」

　病弱な彼女を救う為に各地域から取り寄せた良薬を研究者達に渡して作らせた至高の薬だが、それでも妹の病を治すことはできなかった。

　僕と一香は常に二階堂家のお荷物として隅に追いやられていた。

　どんな時でも僕達はお荷物。

　とにかくパーティなどでも目立たないように隅の方にいるのが通例であった。

　そんな僕達を見下していたのが上の兄様や姉様達だ。

　パーティで集まる度に1番成果をあげられていない僕達をいじめてきたのだ。

　思い出すだけで腹が立つ。

　食事に下剤を混ぜられたり、トイレに入っている間に靴に画鋲を入れられたりしていたのだ。

　僕や一香が痛い思いをする度にあいつらは笑っていた。

　それが嫌で嫌でしょうがななったある日。

　僕は運命的な出会いをした。

　そう、愛川結美という女性の存在だ。

　当時幼かった僕だが、すぐに彼女の虜になってしまった。

　色んな美少女を見てきた僕だったが、それでも彼女の美しさは格別だったのだ。

　それに彼女は覚えていないのかもしれないが、あの時僕の妹に最初の施しを行ってくれたのだ。

　僕の妹の病弱な姿に凄く心を打たれたような姿を見せてくれて、愛川グループの医者を寄越してくれて妹は一時的に日常生活で歩けるレベルにまで回復させてくれたのだ。

　なぜか彼女はその話を覚えていなかったが、僕には一生かけても忘れられない思い出となった。

(あの時の恩は絶対に忘れない。僕が愛川さんを幸せにしてみせる)

　そう思って長い時が過ぎ去り、ついに僕は【超越者】としても力を手に入れる事になったのだ。

　この力を手に入れた僕はまず憎んでいた親兄弟を全て皆殺しにした。

　あんなクズどもは死んで当然だ。

　そして日本の議員の中にはあいつらと手を組んで若者から血液を吸い取るようにカネを吸い上げているクズがいると知った。

　それを知った時に日本の住んでいる愛川さんのことを思い出したのだ。

　愛川グループの名前は大きいので彼女が何処に住んでいるのかを調べるのは容易かった。

　愛川さんは日本に住んでいる。

　しかし、この国は若者に優しくない。

　だったらこんな国一度ぶっ壊して僕と彼女が住みやすい国を作ることが彼女への1番の貢献だと考えたのである。

(愛川さんと一香は僕が絶対に幸せにしてみせる)

　そう思いながら妹の手を取るのだった。