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対戦

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「おりゃあああ!!! 鬼蛇大王クライマックスで攻撃!! その時に相手の壁モンスターを破壊して2ハンデス! 俺の勝ちだ~!!!」

 遠慮なくキモオタをボコス佐藤。

「うわー、負けたー!」

 棒読みでそう呟いたキモオタは対戦後の握手を求めてきた。

「良い対戦でした、もう一戦やりましょう」

「良いぞ! 何度でも相手になってやる!」

 そう言いながら普通に握手を交わした佐藤だったが、俺だけは見ていた。

 握手の時間が妙に長いし、佐藤の手をニギニギと触っている対戦相手の鼻息が荒いことに。

(可愛い見た目をしているが佐藤は元男だぞ)

 と言ったらその相手はどんな顔をするのだろうか? 好奇心でつい言ってしまいそうになる。

 それに対戦中のカードの使い方も明らかにわざと負けるようなプレイングだったのが解せないな...。

 これは俗に言う接待プレイと言う奴だろう。

 主に経験者が初心者相手に本気の山札ではなく少し弱めのデッキで相手をしてあげている印象を受けた。

(接待プレイにしてももう少し粘った方が良かったんじゃないか?)

 佐藤はノーダメージで気分良く勝ったと思っているが、見ている側からすればちょっと露骨な部分が見えてしまっていた。

「じゃあもう一戦やるか!」

「やりましょう!」

 キモオタと美少女が笑い合いながらカードゲームなんかやっている現場は物凄く異様な雰囲気を醸し出しているのだった。
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