最弱の職業【弱体術師】となった俺は弱いと言う理由でクラスメイトに裏切られ大多数から笑われてしまったのでこの力を使いクラスメイトを見返します！

愛川剛三郎

　俺と結美は黒服に連れられて結美の父ちゃんの元へと向かう。

「こちらです」

　そう言われて連れてこられたのはいかにも社長っぽい人の部屋だった。

　重苦しい感じの部屋には高級な家具がいくつも存在している。

「きたか...」

　そう言いながら振り返ってこちらを見てくる出来そうな男が結美の父さんなのだろう。

「パパ！」

「お～結美か。久しぶりだな。家族の再会は後にするとして...。君が高坂和希君だね」

　剛三郎とはいつの時代の名前だろうか？　少なくとも今の時代にそんな名前をつける親はいないだろう。

　彼は俺を手招きして目の前のソファに座らせた。

　そしてお互いに顔を見合わせて話が始まった。

「まずは久しぶり。覚えているかな？　君が幼稚園児の時に一回だけ会った事があるんだ」

　そう言われても正直覚えていない。

「すみません。ちょっと覚えていません」

「ははっ！　そりゃそうか。でも安心したよ」

「...安心？」

「ああ、君の中に眠る金運。それは全く衰えていない。寧ろ増している気がするからね」

「金運？」

　おかしな事を聞いてくるなこの人は...。

「ああ、その人が持っている金運さ。こればっかりは天から生まれ持った才能だからね。後からどうこうできる問題じゃない。けれども君にはそれがある」

(何を言っているんだこの人は？)

「第一金運なんて見えませんよね？　何を根拠にそんな事を？」

　俺の質問に彼はこう答えた。

「いや、俺には見・え・て・い・る・ん・だ・よ・。君の中に眠る凄まじいばかりの金・運・がね...」