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収穫なし
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「はぁ...」
深くため息を吐いた俺に妹が声をかけてくる。
「ね~ね? どうしたの?」
「ああ、思った以上にアルメアから聞き出せた情報が少なくてな。 期待していただけに残念だ」
「そんな情報がなくても私が全て粉砕しますから問題ないですよ」
俺とリウの会話に何故か脳筋のクラウニーが割り込んでくる。
「いや、情報は大事ですよクラウニーさん」
それをケロ次郎が指摘する。
そうだぞケロ次郎、もっと言ってやれ。
俺がケロ次郎の肩を持っているとついに大洞窟の奥から光が見えてきた。
「ついに砂漠から抜け出せるのか?」
そう思いながら進軍を続けると、ついに森林が見え始めたのだった。
「やった~!! 木だぞ! 木!」
「ね~ね!! お花があるよ! 花の冠作ろうよ!!」
自然の多さに早速大興奮の俺とリウ。
転生してきた先がちょうどこんな感じの場所だったのを覚えているからだろう。
俺とリウのはしゃぎ振りに笑う仲間たち。
「ほらほらお前たちもここで一旦休憩だ! 今日は勝利の余韻にこの森で遊ぼうぜ!」
俺の言葉に進軍は一度止まる。
そして【ダンジョンメイキング】を行い簡易的なパーティ会場を作った。
後で取ろうと思っている食事は先ほどの砦で奪った兵糧だが進軍中だと思えば充分だろう。
しばらく遊んでいるとケロ次郎とクラウニーが大型の猪を仕留めて今日の晩ご飯は兵糧から猪鍋に変更になった。
「ね~ね! 花冠できたよ!」
なかなかの出来に俺は妹の頭を撫でる。
「おっ! 上手だなリウ!」
「ね~ねの頭にかけてあげるね」
妹の手作り花冠を頭にかけて貰うと嬉しくなってくるな。
「ありがとうなリウ」
「うん!」
妹とこうしてゆったりとした時間を過ごすのはいつぶりだろうか?
思えばここ最近は【魔王】としての激務が多くてあまり遊んでやれてなかった気がする...。
だからこそ今日くらいはしっかり妹の趣味に付き合おうと思う。
今度は俺がリウの花冠を作ってやろうと思い、リウ指導のもと花冠を作る。
「できたぞ!」
と言いながらできたのは妹の作った物と比べれば品質が明らかに悪い物だった。
(うわ...俺の図工レベル1かよ!)
そう思ってしまうほどに酷い物になってしまったが、妹は「早くリウの頭に乗せて」とせがんできた。
「いや...これ失敗作だと思うんだが...」
俺がそう言っても妹は聞かない。
「その花冠が良いの! ね~ねが一生懸命リウの為に作ってくれた花冠だから!」
妹の満面の笑みに俺は思わず泣きそうになる。
「リウ...」
俺は妹の名前を呟きながら王冠を彼女の頭の上に置いた。
不思議と頭に被ってしまえば似合う物だ。
「ありがとう! ね~ね!」
太陽のような満面の笑みに俺も微笑んでしまっていた。
(この笑顔を守る為にも俺は負けられないな...)
そう思いながら今日1日を妹の為に使えたことを有意義に感じているのでした。
深くため息を吐いた俺に妹が声をかけてくる。
「ね~ね? どうしたの?」
「ああ、思った以上にアルメアから聞き出せた情報が少なくてな。 期待していただけに残念だ」
「そんな情報がなくても私が全て粉砕しますから問題ないですよ」
俺とリウの会話に何故か脳筋のクラウニーが割り込んでくる。
「いや、情報は大事ですよクラウニーさん」
それをケロ次郎が指摘する。
そうだぞケロ次郎、もっと言ってやれ。
俺がケロ次郎の肩を持っているとついに大洞窟の奥から光が見えてきた。
「ついに砂漠から抜け出せるのか?」
そう思いながら進軍を続けると、ついに森林が見え始めたのだった。
「やった~!! 木だぞ! 木!」
「ね~ね!! お花があるよ! 花の冠作ろうよ!!」
自然の多さに早速大興奮の俺とリウ。
転生してきた先がちょうどこんな感じの場所だったのを覚えているからだろう。
俺とリウのはしゃぎ振りに笑う仲間たち。
「ほらほらお前たちもここで一旦休憩だ! 今日は勝利の余韻にこの森で遊ぼうぜ!」
俺の言葉に進軍は一度止まる。
そして【ダンジョンメイキング】を行い簡易的なパーティ会場を作った。
後で取ろうと思っている食事は先ほどの砦で奪った兵糧だが進軍中だと思えば充分だろう。
しばらく遊んでいるとケロ次郎とクラウニーが大型の猪を仕留めて今日の晩ご飯は兵糧から猪鍋に変更になった。
「ね~ね! 花冠できたよ!」
なかなかの出来に俺は妹の頭を撫でる。
「おっ! 上手だなリウ!」
「ね~ねの頭にかけてあげるね」
妹の手作り花冠を頭にかけて貰うと嬉しくなってくるな。
「ありがとうなリウ」
「うん!」
妹とこうしてゆったりとした時間を過ごすのはいつぶりだろうか?
思えばここ最近は【魔王】としての激務が多くてあまり遊んでやれてなかった気がする...。
だからこそ今日くらいはしっかり妹の趣味に付き合おうと思う。
今度は俺がリウの花冠を作ってやろうと思い、リウ指導のもと花冠を作る。
「できたぞ!」
と言いながらできたのは妹の作った物と比べれば品質が明らかに悪い物だった。
(うわ...俺の図工レベル1かよ!)
そう思ってしまうほどに酷い物になってしまったが、妹は「早くリウの頭に乗せて」とせがんできた。
「いや...これ失敗作だと思うんだが...」
俺がそう言っても妹は聞かない。
「その花冠が良いの! ね~ねが一生懸命リウの為に作ってくれた花冠だから!」
妹の満面の笑みに俺は思わず泣きそうになる。
「リウ...」
俺は妹の名前を呟きながら王冠を彼女の頭の上に置いた。
不思議と頭に被ってしまえば似合う物だ。
「ありがとう! ね~ね!」
太陽のような満面の笑みに俺も微笑んでしまっていた。
(この笑顔を守る為にも俺は負けられないな...)
そう思いながら今日1日を妹の為に使えたことを有意義に感じているのでした。
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