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この程度か

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「この程度か使えない奴め」

 そう言いながらアルメアの体から出て来る【守護天使】キル。

「お前の負けだ! 大人しく投降しろ!」

 俺の言葉に彼は笑う。

「投降しろだ? 冗談はよせ、ただ1人の人間が負けただけだ」

「そいつは【8天勇者】の1人なんだろう? フラスに続いて2人目だ、そちらさんも少しは危機感を持った方がいいんじゃないか?」

 俺の煽りに彼は笑う。

「お前ら如きに危機感を持てだと? 一介の魔物風情が笑わせるな!」

 彼は俺に衝撃波のような物を飛ばして来たが、リウのお陰で相殺できた。

「リウ、ありがとうな」

「ね~ねを守るのはリウの仕事だよ!」

 自分の仕事がわかっている妹にはいい子いい子をしてあげる。

「えへへ~、ありがとう」

 この笑顔を見ているだけで癒されるが、今は目の前の【守護天使】を捕縛するのが最優先だ。

「この包囲網から簡単に逃げられると思うなよ?」

 と言う俺の言葉に対して彼はこう言いました。

「そう言いながらもマリーに逃げられたまぬけはどこの誰かな?」

 いきなり煽ってくる彼に煽り耐性ゼロの俺は指示を出す。

「ケロ次郎! そいつを捕まえろ!」

「はっ!」

 俺の命令にケロ次郎が動くのだが...。

「あめ~な!」

 ドンっと腹を蹴られて地面に疼くまるケロ次郎。

「なっ!? 【8天勇者】の装備になっている時よりも強いぞ!? どうなってるんだ!?」

 今の動きはどう考えてもアルメア以上です。

 驚く俺に彼は驚きの事実を伝えてきました。

「ああ、俺たち【守護天使】が【8天勇者】に装備させられているのは見た目が格好いいからと言う理由だけだぞ」

 いきなりのカミングアウトに俺は「なん...だと...」と某死神代行のような言葉を出してしまう。

(たしかに天使が勇者の装備品になるのってすごく映えるけど...、まさかそれだけが理由なのか!?)

 人間達を束ねる為にわざとエモい装備品となってそれを【8天勇者】の象徴としたと言うところだろうか?

 ケロ次郎を倒した後に彼は天使の翼を生やしてその場から逃げ去る。

「包囲網は簡単に崩れ去ったな!」

「逃すか! リウ!」

「うん! 【桜極】!!!」

 妹が【極限】の力を扱い始め、桜の園を作り上げる。

「逃がさないよ!」

 妹の手の動きに合わせて無数の桜の刃がキルを捉えようと形を変えて襲いかかるのだが...!

「その技なら知ってる、マリーから聞いたからな」

 彼はそう呟くと魔石を一箇所に10個ほど投げてから爆散させた!

「きゃっ!」

 いきなりの大爆発にリウのフィールドに穴が空いてしまう。

「一点集中型の攻撃に弱いんだってな! あばよ!」

 凄まじい速度で撤退していく彼を見て膨れっ面になる妹。

「むか~!!! ね~ね! あいつを追っても良い!?」

 と言う妹の言葉に俺は「NO」と答える。

「悪いなリウ、たしかに【守護天使】を逃したのは大きいが、ここにもう1人【8天勇者】を捕らえる事ができた。此度の遠征はこれを収穫としておこう」

 残念そうにキルの脱げていった方向を見つめる妹に対し、俺は早くも捕らえたアルメアの美脚に視線を移しているのでした♡
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